CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] 今、ここが自分の居場所

今、ここが自分の居場所

五味岳久(プロフィール)

五味岳久

プロフィール 五味岳久
LOSTAGEのベース・ヴォーカル担当。

LOSTAGE
五味岳久、五味拓人(ギター)、岩城智和(ドラム)から成るロックバンド。2001年、地元・奈良にて五味兄弟を中心に結成され、現在も奈良を拠点に活動中。地方発信、地域密着をモットーに独自の活動を展開している。2011年に自主レーベルTHROAT RECORDSを立ち上げ、2012年には地元に中古レコードショップTHROAT RECORDSをオープン。五味岳久自らが店頭に立ち、レコードや自身のバンドの作品のほか、デザインを手掛けたグッズや、仲間のバンドのCDなども取り扱っている。最新作はCDとアナログでリリースされているフルアルバム『Guitar』。

LOSTAGE公式ホームページ
THROAT RECORDS公式ホームページ

CONTRASTに3回目の登場となる、LOSTAGEの五味岳久。前回から今回までの間に、レコードショップの開業、自主レーベルからの他バンドのリリース、独立後3枚目となるオリジナルアルバム『Guitar』のリリースと、語ってくれた言葉どおり、音楽を生活の軸に引き寄せてきた。

その中でも中心となっているのは、言うまでもなくバンドだ。メジャーを経てインディーズに戻った今なお、ファンの輪は着実に全国に広がり続けている。それは、彼らがインディーズだからこそ、各地からのオファーを一つ一つ真摯に受け、地道にライブ活動を続けてきた結果に他ならない。

ツアーを重ねていると、たくさんの人に会う。以前来た場所で再会できる人もいれば、新しい場所に赴いて、新たな出会いが生まれることもある。インターネットでは得ることのできない体験は、リスナーだけでなく、バンドマンにとっても貴重なものだ。なぜなら、彼らもリスナーの声を聞きに行っているのだから。その声を受けて、また曲を作る。曲ができれば、それを携えて旅に出る。そうやって問いと答えを繰り返し、バンドは続いてゆく。

現場にこだわってきた彼らがアルバム『Guitar』のツアーを終え、リスナーからの声を奈良に持ち帰って何を思ったのか。彼らならではの「現場」であるTHROAT RECORDSの店舗についても触れながら、バンドマンにとっての区切りであるツアー後に話を聞かせてもらった。場所は、東京のライブハウスの中でも特にLOSTAGEと付き合いが深い、新代田FEVERの西村氏が営むカフェRR。

取材協力:RR

Text by Yukari Yamada Photo by アカセユキ

完全に閉じたら俺ら終わりやなって気がする。

自他共に認めるライブバンドのLOSTAGEですが、ツアーを終えたタイミングのインタビューはあまりないんじゃないですか。

五味

初めてかも。

8月に『Guitar』のリリースと同時にツアーがスタートしましたよね。初日とファイナルを観させていただいたんですが、ファイナルではツアーを経て曲たちが育ったなって感じたんです。

五味

自分で言うのもなんやけど、ほんと育ちましたよ(笑)。初日はFEVERでASPARAGUSHUSKING BEEとやって。もちろんすごく楽しかったし、手応えはあったけど、演奏することに集中しすぎてお客さんとの気持ちの交換までいけなかったんですよね。それがライブを重ねていくうちに、場の空気とかも汲みながらやれるようになって。今までやったツアーの中で一番、音源をライブでいい感じにできたと思う。しかも、今回は曲のテンション自体が今までと違うから、それを初めてライブでやったときのお客さんの反応も新鮮でしたね。

CONTRAST [インタビュー] 五味岳久 | 今、ここが自分の居場所

最初は探り探りだったけど、回を重ねるにつれてだんだん感覚を掴んでいったんですね。

五味

うん。フィジカル面のペース配分とか。今回のツアーは、前回よりワンマンを多めにやらせてもらったんですけど、MCを長めにしてました。

それは、ペース配分の意味だけじゃなく、音楽だけでは伝えきれない部分を話したい気持ちもあったんじゃないでしょうか。

五味

そうそう。昔はカッコよければそれでいいと思ってたんですよ。演奏だけやって帰ったこともあったし。今はしんどいからっていうのもあるけど、やっぱり喋らないと伝わらないですよ。今のバンドのやり方とか、メンバーの人間関係とかを考えたら、完全に閉じたら俺ら終わりやなって気がするんですよね。あとは、インターネットやりすぎて俺がどんなやつかバレたもんだから、カッコつけてもしゃあないなっていう(笑)。

CONTRAST [インタビュー] 五味岳久 | 今、ここが自分の居場所

今年はいろんな場所で観させていただきました。おなじみのFEVERにもよく行ったし、自主企画の「生活2014」も、そしてナノムゲンも。

五味

確かに、今年はいろんなところでやりました。この間なんて、よく店に来てくれる青年の企画に呼ばれて、磐田のFM STAGEっていうところでライブをやったんですよ。キャパ50人くらいの、めちゃくちゃ汚くて暗い“ザ・ライブハウス”っていう感じのところ。そういうところも好きなんですよ。そういうのにも出るし、アリーナのライブにも出る。幅が広いのはLOSTAGEのセールスポイントですね。

企画に呼んでもらえることが単純に嬉しいし、それこそナノムゲンのように、呼んでもらったことで行けた場所もあったんじゃないですか。

五味

そうですね。どんどんやったことのない場所でやってみたい。行ったことのない地方の小さいライブハウスとかにも行ってみたいし、武道館や海外にも行きたいですね。それはハコのデカさではなくて、行ったことのない場所でやったことのないことをやってみたいっていうだけで。新しい場所に行けば出会いがあるから。

やっぱりバンドありきなんですよ。

率直にお聞きしますが、今はベストなバンドの形になったんでしょうか?

五味

いや、全然。弟はまだバイトしてますし。あいつがもうちょっと音楽に近いところでやってくれたらベストじゃないかな。昔よりは全然よくなってきてると思うけど、まだいいとは言い切れないですね。

音楽に近くなるというのは、単純にライブを増やせばいいということなんでしょうか。例えば、最近は弾き語りのライブも増えてきてるので、拓人さんにも出てもらうとか。

五味

弾き語りに来る人って、普段のライブに来てくれる人の一部だけなんですよ。しかも、女性のお客さんが多い。やっぱり、バンドでやってるところを観たい人もいるわけで。弾き語りのように、小さいキャパのところで、近い距離でやれるのはありがたいことなんですけど、やっぱりバンドありきなんですよ。バンドの曲を弾き語りで聴いたときに、例えば歌のメロディのよさが引き立つとか、バンドでは見られなかった角度から見ることで別のものが見えてくるのがいいと思うんです。弟が音楽に近いところでやってほしいっていうのは生活スタイルのことですね、兄目線っていうのもあると思うけど。

CONTRAST [インタビュー] 五味岳久 | 今、ここが自分の居場所

なるほど。バンドでの表現があってこその弾き語り。今、五味さん自身はレーベルとレコードショップとバンドで生活しているんですよね?

五味

そうですね。最近はほとんど絵の仕事もやってないです。

レーベルに関しては、レーベルメイトが増えて、規模も大きくなりましたよね。

五味

うーん、大きくなったって言うんかな。やってるのは今も俺一人やし、レーベルって言っても、アーティストを抱えてるわけじゃないんでね。俺は別にマネージャーじゃないから、ツアーのブッキングはそれぞれでやってるし、そのバンドがそのとき出した音源にちょっと関わったっていうだけなんですよ。でも、音源はずっと残るものだから、それがある限りは次も手伝いたいと思ってます。チームやけど、「俺んとこのレーベルのバンド」とか、「俺がやってる」みたいな意識は全くなくて。CDを出したいバンドがいるからちょっと手伝ったというくらいの感覚ですね。やっぱり、できるだけ自力でやるのがいいと思うんですよ。俺自身が今一番やりたいことをやれてると思うし、純粋に音楽と向き合えてる。みんながそういう感覚でやってくれれば一番いいと思うから、その手伝いをしてるだけですね。

ただ、単純に関わるバンドが増えると楽しいんじゃないですか?

五味

そうですね。年末、レーベルの忘年会でみんなが集まったときに感じるチーム感はすごくいいです。