CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] バンドというドラマ

バンドというドラマ

L.E.D. × moshimoss × Polar M(プロフィール)

L.E.D. × moshimoss × Polar M

プロフィール L.E.D. × moshimoss × Polar M

L.E.D.
佐藤元彦 : Bass (JacksonVibe)
オータコージ : Drums (曽我部恵一BAND, □□□, SPANOVA, etc.)
加藤雄一郎 : Saxophone (Natsumen, Calm, Calm, etc.) 横山裕章 : Keyboard (曽我部恵一ランデブーバンド, 星野源, たむらぱん, メレンゲ,etc.)
塩川剛志 : Guitar (Balloons, MAS)
kakuei : Percussion, Steelpan (Overground Acoustic Underground)
RYUDAI : Percussion (Little Cosmo, Freaky Machine, Orquesta Nudge! Nudge!)

2000年結成。rock、funk、hiphop、house、dubstep、shoegaze、ambient、minimal、electronicaまで多様な要素をバンド独自の有機的フィルターを通して解体、再構築。既存のインスト、ポストロック勢とは明らかに一線を画す、映像を強くインスパイアさせる、まさにシネマティックなサウンドスケープを展開している。2009年にマンガ家であり映像作家でもあるタナカカツキとのコラボレーションが話題となった1stアルバム『Gaia Dance』、2010年にはバンド初のボーカルトラックにクラムボンの原田郁子を迎えた楽曲「I'll(アイル)」を含む2ndアルバム『elementum』、2012年にROVOの益子樹のミックス、マスタリングによる初のライブアルバム『in the universe』を発表。その間もCalm、moshimoss、YOGRUT & KOYAS、DJ Funnel をリミキサー陣に迎えたremix限定アナログ盤のリリースなどを精力的に発表。ライブも"朝霧JAM"、"頂フェス"、"NATURAL HIGH"など野外フェスを中心に出演を重ねている。2013年には二年ぶりのフルアルバム"in motion"も完成。Salyu(歌)+タナカカツキ(作詞)、志人(MC/from降神)をゲストに迎えたコラボレーショントラックや、既にライヴでも好評な楽曲群を収録した充実の最高傑作。

L.E.D. ウェブサイト

moshimoss
1979年 山梨県生まれ。音楽家・イラストレーター。 山梨の音楽レーベル、Neguse Groupを主催し、Kosuke Anamizu名義で、ドイツのTraumからProcessとのスプリットEPや、mule electronicからリリースした、ミニマルハウス・ダブなどの作品で知られる。 2010年、サンフランシスコを拠点とするdynamophone recordsより『Hidden Tape No.66』をリリース。 2011年には、L.E.D. feat. 原田郁子の「I’ll」のRemix EPにリミキサーとして参加、Cokiyu や Geskia などのアーティストを始め、リミックスワークも多数手がける。 2012年には moshimoss として Fujirock Festival’12 への出演を果たした。 2013年5月22日、全世界が待望した新作『endless endings』がリリースされる。

moshimoss ウェブサイト

Polar M
ギターサウンドを中心に展開されるサウンドスケープ。繊細ながらも強い情感を持って鳴らされるそのサウンドは、深く静かに、時に反復し、時にいびつにその形を変えていく。ソロやユニットでのライブの他、ダンスとの共演、ショートムービーや映像作品への楽曲提供、イラスト制作等々、 その活動は多岐に渡る。

Polar M ウェブサイト

4月17日にリリースした3rdアルバム『in motion』の中で、7人という大所帯ならではのダイナミックなバンドアンサンブルと、Salyu、タナカカツキ、降神のMC志人を迎えたコラボレーションによって、新たなサウンドスケープを打ち出したL.E.D.。

今回CONTRASTでは、ウェブマガジンQeticとの合同企画として、それぞれのサイト上でL.E.D.の対談をお届けする。対談は東京都唯一の村である檜原村にて対談は行われた。L.E.D.からはリーダー・ベースの佐藤元彦とドラムのオータコージが参加し、既にQeticにて掲載中の対談では、「賽の河原〜八俣遠呂智の落とし子と鬼八の祟り〜」でコラボレーションを果たした志人を迎え、徹底的に遊び倒した楽曲について、とことん語り尽くしてもらった。得体の知れないエネルギーとスリルに満ちた楽曲の異質感の正体が明らかにされているので、是非チェックしていただきたい。それからダブルヘッダーとして続いた対談が今回の記事となっている。なおカメラマンは、以前CONTRASTで取り上げたイタリア人フォトグラファー、Luca Gabino。彼は『in motion』のブックレットに写真を提供していることから、今回の撮影に協力してくれることとなった。

気になる対談の相手は、エレクトロニカ、アンビエントシーンで活躍する音楽家、moshimossとPolar M。山梨在住のmoshimossはL.E.D.のリミックス曲を提供する立場から彼らの楽曲制作に関わり、京都在住のPolar Mは同じく京都在住の佐藤と親交が深い。佐藤曰く、両者は『in motion』の制作に直接的に関わってはいないが、アルバム制作の過程において、深い部分でインスピレーションを受けた存在だという。その意味では、彼ら無しには完成し得なかった作品だとも語ってくれた。

世代とジャンルの垣根を超えた交流の中で、L.E.D.が直面した大所帯バンド故に直面した問題と、それを乗り越えたエピソードが明かされている。世の中には様々な編成のバンドが存在するが、各々の視点から語られるバンド観が実に興味深い。じっくりと読み込んでいただければと思う。

Text by Shota Kato Photo by Luca Gabino

L.E.D.に救われた二人

志人さんとの対談(Qetic掲載)に続いて、佐藤さんとオータさんはダブルヘッダーでmoshimossさんとPolar Mとの対談をお願いします。まずは、このお二人を対談相手に指名した理由から聞かせてもらえますか?

佐藤

僕が今回のアルバム(『in motion』)の曲を作るにあたって、彼ら二人との付き合いと彼らの作り出す音から、かなり深い部分でのインスピレーションをもらったというか、助けられたんですね。そういう個人的な意味では、今回のアルバムは彼らがいないと出来なかった作品なんです。

CONTRAST [インタビュー] L.E.D. × moshimoss × Polar M | バンドというドラマ―

オータさんは、今の佐藤さんのお話をご存知でしたか?

オータ

もちろん聞いてましたよ。Twitterのやりとりとかも見ていますし。


佐藤

(笑)この人は全てのやりとりを傍観しているんですよ。


オータ

僕はサイバーな人間なので(笑)。moshimossくんは僕らの曲をリミックスして下さっていて、Polar Mさんとは一度対バンしています。


佐藤

そうだ、実は俺より先にPolar Mくんと出会ってるんだよね。


Polar M

これはたまたまで、僕はソロ以外でrimaconaというユニットのサポートギターをやっていて。オータさんがサポートをやってらっしゃるSPANOVAさんと対バンさせていただいたんですよ。


オータ

たしか兵庫県立美術館でしたっけ。2,3年前に、映像と音のイベントでご一緒したんですよね。

CONTRAST [インタビュー] L.E.D. × moshimoss × Polar M | バンドというドラマ―

佐藤さんとお二人はいつからの付き合いになるんですか?

佐藤

Polar Mくんは去年からで、moshimossくんは『I’ll』(クラムボンの原田郁子を迎えたバンド初のヴォーカル曲)のリミックスの時だから…2011年の頭ですね。

佐藤さんは京都で暮らしていますけど、Polar Mさんとは、京都に移住していなければ出会っていないですよね。

佐藤

そうですね。ただmoshimossくんがいなかったら、京都でも出会ってなかったのかもしれないです。moshimossくんが関西でライブをやったのが、Polar Mくんと関わりの深い京都の電子音響レーベル、night cruisingのイベントだったんだよね。


モシモス

ちょうどモトキチさん(佐藤)が京都に引っ越したのと、僕がnight cruisingのイベントに呼ばれ始めたのが一緒のタイミングでしたよね。


佐藤

そうそう。moshimossくんが京都界隈で色々動いていることを知って、ライブに遊びに行ったら、Polar Mくんがいたんだよね。

三人が共感できる接点はどんなところにあったんでしょうか。

佐藤

お互いに無いところに惹かれたというか。僕は、バンドじゃないと絶対に出せない音とかグルーヴがあると思っていて、それに対しての強い憧れがあるんです。逆に、僕が一人で自由に出来るところが、モトキチさんにとっては新鮮に見えたのかな。

L.E.D.は宇宙や地球だったり、美しい風景を連想させるサウンドスケープが特徴的ですが、お二人はL.E.D.の音楽からどんな印象を受けましたか?

モシモス

はじめて聴いた印象は、すごくポジティブな気持ちになれたんですよね。


Polar M

僕も同じで、このご時世、こんなポジティブなヴァイヴスを感じられるバンドってなかなかいないんじゃないかと思うんです、決して安易な意味では無く。モトキチさんに感想を伝えた時は「大袈裟!」って言われましたけど(笑)。L.E.Dの音楽を聴くと、何か救われた様な気持ちになるんです。


モシモス

分かる。俺もL.E.D.に救われた感じがする。俺らからしたら、L.E.D.は憧れというか、かっこいい存在なんですよ。目を覚まされたところはありますね。

CONTRAST [インタビュー] L.E.D. × moshimoss × Polar M | バンドというドラマ―

逆に、佐藤さんがお二人から受けた影響を聞かせてもらえますか?

佐藤

僕は、音に対するこだわりのポイントや熱量感覚は世代によって違いがあって、それぞれに独特の美学があると思っていて。僕とオータくんは今年40歳で世代が一緒だから、彼と話していると、そこはガチッと合うんですよ。でもmoshimossくんとPolar Mくんと話していると、同じ景色でも自分とは異なる視点で見てるなということをしばしば感じたんです。

音源以外からも刺激をもらった存在なんですね。

佐藤

そうですね。moshimossくんは山梨に住んでいて、Polar Mくんは僕と同じ京都に住んでいる。二人は外部の環境に対する敏感なアンテナを持っていて、自分にもそういう感覚があると自覚していたんですね。でも、近付いて話してみたら、二人とはそういう感性の部分で微妙に世代のギャップがあるということに気付いて、そこを意識するようになったんです。そこから逆に自分たち世代を俯瞰できて新たな発見もあったり、面白いなと思えたんですよね。

平熱感覚を保った質感の音楽

その世代間のギャップは、どういった部分から感じたんでしょうか。

佐藤

例えば、いま二人はL.E.D.の音をポジティブと言ってくれましたよね(笑)。


モシモス

いやいや、本当に元気になるんですよ!オータさんとモトキチさんからもエネルギーが溢れてる感じがするんですよね。僕らは「どうせ俺たちは…」というところから始まっていて、最終的に「でも頑張ろうぜ」みたいなことになるんですけど、オータさんとモトキチさんはすごくストレートな感じが伝わってきて。


Polar M

モトキチさんとオータさん世代のミュージシャンの方たちって、すごく元気だと思うんですよ。


佐藤

というふうに二人は言うんだけど、俺らとしてはそんなポジティブにやってる感覚はないよね。


オータ

うん、ないね。


佐藤

それを言われて驚いたんだよね。


モシモス

過程には色々な問題が起こっているのかもしれないけど、最終的にアウトプットされる音楽にウジウジした感じはないというか、少年っぽさやエネルギッシュな感じをすごく受けるんですよ。


オータ

それはたぶん、楽器の特性もあるんでしょうね。僕らが扱っているのは肉体的な楽器じゃないですか。だからある意味ではポジティブにならざるを得ないというか、ネガティブにドラムを叩いていてもつまらないだけだから。逆に、電子音楽家と呼ばれている人たちが、めちゃくちゃポジティブに打ち込みをしていると、どこか変な感じがするよね?


佐藤

たしかに(笑)。


オータ

だから、ツールの違いなんでしょうね。


モシモス

でも例えば、僕らは何かを食べるにしてもカロリーを意識しがちな弱い部分があるんですけど、L.E.D.メンバーのInstagramを見ていると、「あー、リハが終わったー。ラーメン食いに行こうぜ!」みたいな清々しさがあるんですよ。


一同

爆笑

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モシモス

実はカロリーを気にしているのかもしれないけど、「やっぱり美味いのが最高じゃん!」と思っていて、そこに素直に向かっている感じがあって、それが音にも表れていると思うんですよね。


オータ

こうやってシンパシーを感じて同じテーブルで話せていることをラーメンで例えると…僕らがカロリーを気にしないで食っているとしたら、二人は食べるんだけれども、カロリーを気にしてウジウジしちゃうんですよね?


モシモス

そうですね。最終的に「…食おうぜ」みたいな。


オータ

ラーメンに向かう気持ちは違ったとしても、皆ラーメンのことを考えていますよね。


モシモス

たしかに。過程は違うけど、ラーメンという目的地は一緒ですね。


オータ

そこだと思うんですよ。目的地が一致しているから、こういう対談が出来るのであって、同じ空間を共にすることが出来る。これでラーメンが嫌いだと分かったら、自然と離れていくんじゃないかな。


佐藤

僕らが彼らからポジティブに映る音なのだとしたら、バックボーンも含めて、二人の住んでる場所を実際に肌で感じている自分が彼らの作品を聴くと、その景色がもろに浮かぶんですよ。とても自然というか平熱感覚を保った質感なんですね。僕はそういうことが出来ないのかもしれないと思っていて、自分が住んでるところの情景を表したいと思っても、どうしてもファンタジーにしてしまうというか、ありのままを表現出来ないというジレンマを自覚しているんです。だから、彼らのそこを自然と表現できる部分に惹かれましたね。もしかしたら僕とかオータくんの世代は、それをデフォルメして大袈裟に表現しちゃうとか、ついつい熱くなって本来、等身大に自分が表そうとしているものを違う形に無意識に変えてアウトプットしているのかもしれない。…何?(笑)

CONTRAST [インタビュー] L.E.D. × moshimoss × Polar M | バンドというドラマ―


Polar M

いや、ひたすら恐縮というか。


モシモス

世代なのかは分からないですけど、身に余りすぎる言葉ですよ。


佐藤

世代の違いじゃないのかな?アウトプットの形が違うとは感じているんだけど。自然な表現というか、自分だったら過剰にしちゃうところを、二人は平熱を保ったまま移動したり、熱くなるポイントが違ったりしていて、そこにすごく興味が湧くんですよね。新たな景色の見方を教えられるというか。