CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] 友人として、仕事仲間として

友人として、仕事仲間として

easeback(プロフィール)

easeback

プロフィール easeback
L→R 森諭(映像ディレクター)、中島賢二(映像ディレクター)、宮島彰(アートディレクター)、清水尚樹(アートディレクター)

アートディレクションから映像の企画・制作、広告まで幅広く手がけるクリエイティブチーム。これまでに数多くの音楽CDデザインやミュージックビデオを制作。音楽専門チャンネル主催のMVアワード受賞、RESFEST (短編フィルムの世界的フェス)への招聘など、アート、カルチャー方面での評価は高い。それら時代をとらえた自由で独創的な表現が注目され、企業のブランディング、プロモーションツールの制作など、活動の場は広がりを見せている。現在は、海外での活動を視野に入れた新たな拠点作りや、メディアや制作手法にとらわれない新しい表現の模索を行っている。

easeback ウェブサイト

easebackは清水尚樹、中島賢二、宮島彰、森諭から成る4人組。ミュージックビデオやCDジャケットのデザイン、アートディレクションを中心に、企業CMやプロモーションといった形でブランディングなども手掛ける、いわゆるクリエイターの集団だ。学生時代に出会って以来、15年に及ぶ付き合いを送ってきた彼らは、友人としてだけでなく、仕事のパートナーとして、日々ものをつくる制作活動に専心し、お互いの人生にも関わり合っている。

easebackの屋号は法人格ではない。4人は、会社ではなく個人事業主の集まりとして活動を続け、『モテキ』関連のクリエイティブをはじめ、ナオト・インティライミ、THE BOOM、ZEEBRA、AFRA、アルファ、SUPER BUTTER DOGなどの作品に関わってきた。その実績に目を通してもらえば、大きな資本なしに、彼らが実力と人間力で勝負してきたクリエイターであることが伝わってくるだろう。

そんな文字通り公私にわたるパートナーという関係にある彼らに、インタビューを敢行した。友人としての彼らの距離感が伝わるエピソードから、クリエイターとしての仕事術や各々が直面するシリアスな課題まで、幅広い話題について語ってもらった。

Text by Shota Kato Photo by Masatsugu Ide

基本的に4人全員は関わらない

easebackは、グラフィックデザインとアートディレクションを担当しているのが宮島さんと清水さんで、映像制作が森さんと中島さんという構図ですよね。

宮島

そうですね。分かりやすく言うと。

4人全員が関わるプロジェクトってありますか?

清水

基本的にはないですね。最初のアイデアとかを相談することはあるんですけど、それぐらいだよね。そこまでカチッとしたところはないので、それぞれの裁量でやる中で相談できることは相談してっていう感じで。


そうですね。みんなで相談して組み立てていくっていうのは、そんなにはやらないですね。

へえ。皆さん全員が全てのプロジェクトに関わっていると思ってました。

宮島

体制として、そういう風にやった方がいいんじゃないかなぁという考えもありつつ、まだ試行錯誤している部分もありますね。

そもそも皆さんはいつからの仲になるんですか?

宮島

大学生の時、大学とは別にデジハリ(デジタルハリウッド)に通っていたんですよ。ダブルスクールってあるでしょう?社会人とか学生とかが通う。CGのコースで一緒になって、そこからの付き合いになりますね。


清水

当時のデジハリはまだ出来たばかりで、シリコングラフィックスっていう映画のグラフィックとかを作るワークステーションがあって、大学以外に置いてある唯一の学校みたいな感じに触れ込まれていたんですよ。MacとそのCGソフトの二つを教えてもらえるっていうことで、夢見ちゃったっていう(笑)。僕らはMTV世代だから、ビースティ・ボーイズが大活躍していた時代なので、漠然とあの生活スタイルに憧れてたっていうのがきっかけなのかな。

CONTRAST [インタビュー] easeback | 友人として、仕事仲間として―

てっきり皆さんは美大のご出身だと思っていました。

宮島

ここは文系(宮島、森)で、ここ(清水、中島)は理系ですからね。だから美大へのコンプレックスがあるっていう(笑)。


未だにあるよね。普通は1年でデジハリを卒業なんですけど、この三人(森、清水、宮島)は社会人にならずに残ったんですよ。


清水

それも2.5年もいたんですよね。研究室を追い出されたんだけど、まだ空き部屋があって。準備室じゃないですけど、僕らはもうeasebackっていう名前で活動していて。それで間借りさせてもらっていて、デジハリのプロデューサーの人とかが持ってくる仕事を一緒にやったりしながら、「いい加減に出てってくれ」って感じになって(笑)。まあ部屋も借してもらえたから良かったんですけどね。

CONTRAST [インタビュー] easeback | 友人として、仕事仲間として―

基本的には相手に寄り添っていく

僕がeasebackを知ったきっかけは、映画版『モテキ』のエンドロールなんです。あのインターネットカルチャーからインスパイアされた映像を見て、作品に寄りつつ、すごく時代を切り取った表現だなと衝撃を受けて。あのエンドロールはドラマ版とは性質が異なるものですけど、どんなアイデアから生まれたんですか?

あれは元々リキッドルームで撮影したライブの素材があって、ちょうど話が来たときは、大根さん(大根仁、映画監督・演出家)が編集でばたばたしているタイミングで、「とりあえずこんな素材撮ったんだけど、何か考えといて」って1ヶ月くらい放置されたんですよ。それから編集をやってる石田くんから「こんなの繋いだんです」ってカット編をもらって、「この歌(「今夜はブギーバック」)ありきで見たことのないエンドロールを作ってほしい」って言われて(笑)。

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「見たことのないものをやってほしい」って、究極のオーダーですね(笑)。

「え!?」みたいな(笑)。あとで台本の内容とかを色々と聞いて、そこでナタリーだったりTwitterだったり、インターネットカルチャーを大々的にフィーチャーするっていうことを聞いて、そこに寄せて作ったほうが絶対に面白いと思ったんですよ。「ライブをそのまま見せるのは、あまり面白くないよね」っていう話をしていて。

エンドロールというよりも、ミュージックビデオの要素が強くなっちゃいますよね。

中島

そうですね。エンドクレジットはそれなりに機能性を求められるじゃないですか。しっかり役割を果たさなきゃいけないところなんで、「単純な映像作品にならないように、何にはめ込もうか?」っていうところで、TwitterとかYouTubeにはめ込もうと。


最初はクレジット自体も人の名前というよりも、「関わった人たちの生の声を聞きたいな」っていうイメージがあったんですよ。ニコニコ動画で、コメントが出てきて、それを共有するみたいなのがあるじゃないですか。だったら、関わったスタッフがその映像を見て、何かひと言みたいなものと一緒に関わった人たちの名前とか出てきたら面白いかなぁと。そんな感じで普通に関わった人の名前が出てくるよりかは、個性なり何なりが出てきたら面白いんじゃないかと思って。

CONTRAST [インタビュー] easeback | 友人として、仕事仲間として―

なるほど。

それで転がしていくうちに、「Twitterだったらアイコンで遊ぼうか」「劇中とかにTwitterのアイコンとかで全部作ろうか」というアイデアが出てきて、それを大根さんのところに持って行ったら、「面白いね」って言ってくれたんですよね。でも最終的に尺の問題とかも色々あって、キャストとかスタッフロールとかクレジットとか、色々あったら収まりきらないよねってなってしまって。それで遊びの部分がどんどん無くなっちゃうってなったときに、ブログのアイデアが出てきたんです。ブログだったら、バナーとか付けられるじゃないですか。


中島

僕、映画が好きで、クレジットもすごく好きなんですよ。映画のクレジットもそうですけど、例えばスケートのビデオとかは無駄な要素が多いというか、各ブランドのロゴが出てきたりして、エンドロール自体が楽しいものになっている。そうやって色々な要素が入れられるっていう面から、「やっぱブログなのかねえ」と。

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漠然とYouTubeみたいなものにしようっていう考えはあったんですね。YouTubeとかUSTREAMとかみたいに、ブラウザの画面みたいに囲って見せようと。スクロールみたいな動きもブログなら付けられるし、YouTubeの画面が点在していて、そこにテキストで人の名前とか台詞入れたりとか、原画も入れちゃおうよとなって。

箱が出来てアイデアを詰め込んでいくんですね。

でも、基本的には相手に寄り添っていく感じなんですよ。


宮島

そんなに自己主張することは考えてないもんね。ホームページとかほとんど更新してないし(笑)。昔に cutting edgeとかの仕事をやってた頃は手打ちでアーティストのホームページを更新してたんだけど、そこから離れちゃったからね。


清水

ホームページを作ったことがないのに作ってよとか、CDジャケットもPVも作ったことないのに作ってよとか、そういうことの連続でしたね。逆に、よく仕事やらせてくれたなっていうのはありますけど。ほんと感謝してます。


中島

マニュアル片手に仕事するみたいな。


たぶん頼みやすかったんじゃないですかね。僕らは常に戦闘態勢でいないっていうか、弾けるときは弾けるけど、基本的には照れ屋っていうか。そこが取っ付きやすかったりするのかもしれない。

デザインチームのお二人はどうですか?

清水

縁がすごく良かったんだと思います。PVの仕事はアルファがはじめてなんですけど、学校に行ってたときの友達の先輩(TAICHI MASTER、音楽プロデューサー)から「アルファっていうやつらを売り出そうとしている」っていう話があって、それで「PV作れるんじゃないの?」っていう感じにやらせてもらって。


宮島

「あいつら、デジハリ出てるから、インターネットとかCG出来るぞ」みたいなね(笑)。僕らそれぞれに色んな知り合いがいて、年に1回新年会で200人集まったりしていたのが、結構大きいんだろうな。たぶん、それが色んな人と友達になるきっかけになっていて。

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