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CONTRAST [インタビュー] 出会いから生まれたバンドの目的

出会いから生まれたバンドの目的

NINGEN OK(プロフィール)

NINGEN OK

プロフィール NINGEN OK
石川県金沢市在住のサカグチケンイチ(Dr.)、ヤマシタタクロウ(Gt.)による、轟音インダストリアルロック・デュオ。2009年から「NINGEN OK」として活動を開始し、金沢のライブハウスとクラブを拠点としつつ、東京や関西でも精力的にライブを重ねている。現在は、サキナ(Syn.)をサポートメンバーに迎えたトリオ編成でパフォーマンスを行い、2012年には、FUJI ROCK FESTIVAL ‘12への出演を果たした。また、バンドにまつわる全てのプロジェクトを二人で担っているのが特徴で、“愛の発電”ことサカグチが楽曲制作、アートワーク、ステージデザイン、ウェブを、“愛の放電”ことヤマシタがブッキング、プロモーションを手掛ける。2012年11月、“愛を発電。あなたへ放電。世界に感電。”のキャッチフレーズを掲げ、POPGROUPから待望の1stアルバム『体温の行方』をリリースした。

NINGEN OK 公式サイト

愛を発電。あなたへ放電。世界に感電。――この壮大なキャッチフレーズとともに、NINGEN OKは地元金沢を拠点としたライブ活動を通じて、”愛”を蓄え伝え続けてきた。

NINGEN OKにとっての”愛”とは何か?ひとえに”愛”といっても、彼らはいわゆるラブソングを歌い上げるわけではない。彼らの表現は完全なインストゥルメンタル。キーボードにサポートメンバーを迎えるが、基本的にはデュオという最小のバンド編成をとっている。ヤマシタタクロウはときに白目を剥きながらソリッドなギターを掻き鳴らし、エモーショナルな表情を浮かべるサカグチケンイチのタイトかつ変幻自在なドラムと相まって、激しく衝突し優しく響き合う。全身全霊の演奏を繰り広げる彼らから沸き出る、ポジティブで温かいオーラ、それこそが”愛”なのだろう。

これまでNINGEN OKは、一枚のライブDVDのみのリリースながら、FUJI ROCK FESTIVAL 2012やKAIKOO POPWAVE FESTIVALに抜擢されてきた。そして今回、POPGROUPから熱烈なオファーを受けて、1stアルバム『体温の行方』がリリースされたのだが、これまでライブでオーディエンスとダイレクトに向き合ってきた彼らは、不特定多数のリスナーに聴かれる初めての音源をどう捉えているのだろうか。ライブのために金沢から東京に滞在中のサカグチケンイチとヤマシタタクロウを直撃し、その胸中を語ってもらった。

Text by Shota Kato Photo by Takuya Nagamine

アルバムを作るという目的で始めたバンドではなかった

東京に出てくる頻度が増えて、活動がアグレッシブになっている中でのアルバムリリースはすごく良い循環ですよね。

ケンイチ

そうですね。タイミング的にも有り難いことに。

改めて1stアルバムが完成した手応えはどうですか?

ケンイチ

すごく良い作品になったと思いますし、アルバムを作るという目的で始めたバンドではなかったので、それが結果的にこういう形で作品になったのはすごくうれしいですね。


タクロウ

そうですね。結成当時はアルバムをリリース出来るなんて思ってなかったですし、流れ流れるままにここまで来たんですけど、すごく良い流れの中に入れたんだなって思います。

CONTRAST [インタビュー] NINGEN OK | 出会いから生まれたバンドの目的―

アルバムを作ることが目的のバンドではなかった、という話がありましたけど、そもそもNINGEN OKはどんな経緯から始まったんですか?

ケンイチ

僕とタクロウは高校の同級生で、別のバンドを組んで活動していたんです。それを解散して、そこから3年間ぐらいはお互い楽器をほとんど触らずに生活していたんですけど、その中で今後バンドを組んだらこんなことをやりたいという妄想は膨らんでいて。実際、タクロウからもう一回バンドをやってみようという話があって、僕の頭の中にはギターとドラムの二人のイメージがあったんですよ。それで今まで溜めていた妄想だとか悶々としていたものが破裂して、NINGEN OKが始まったんです。音源を出して世に広めようなんて全く思っていなくて。

お二人が以前にやっていたバンドもインストですか?

ケンイチ

いえ、スリーピースなんですけど、タクロウはヴォーカルとギターをやっていて。


タクロウ

キャンキャン歌ってました(笑)。

(笑)ハードコアですか?

タクロウ

いえ、歌モノです(笑)。


ケンイチ

オルタナでしたね。スマパン(The Smashing Pumpkins)やPearl Jamだとかが好きだったので。

エモーショナルな演奏は前のバンドから引き継がれているんですか?

タクロウ

いえ、好き勝手やっていたら、結果的にこうなっちゃったっていう感じですね。やりやすいし楽しいんですよね、あまり緊張もしないですし。

デュオという形態のインストバンドは珍しいですよね。なぜケンイチさんはNINGEN OKを始めるにあたって、デュオをイメージしていたんでしょう?

ケンイチ

タクロウとのやりとりは、演奏とか以前にやりやすいんですよ。

コミュニケーションが円滑に出来るから二人でやろうと?

ケンイチ

そうですね。それが大きいと思います。だからスタジオで座礁することがあっても、結構プラスに持っていけることが多いんですね。

CONTRAST [インタビュー] NINGEN OK | 出会いから生まれたバンドの目的―

NINGEN OK自体に影響をもたらしているバンドや作品はどんなものが挙げられますか?

ケンイチ

サウンド面ではSHELLACSONIC YOUTH、あとはハードコアやヘヴィロックの影響が大きいですね。

ポストロックからの影響はないんですか?

ケンイチ

ポストロックって言われることが多いですけど、ポストロックは全然聴いてこなかったんですよ。


タクロウ

僕もポストロックって言われても全く分からなかったですね。


ケンイチ

タクロウは高校の頃にやっていたバンドももろにハードロックだったよね。


タクロウ

僕は当時、ランニングを着てヴォーカルをやっていて、色んな勘違いをしていましたね(笑)。100円のサングラスを付けたり、ラメラメのパンツを履いたりして、スキッドロウとかハロウィンみたいなハードロックをやってました。キャンキャン叫んで終わりみたいな、全然オシャレ感もなくドロッとした感じで、ちょっとひと笑い欲しいぐらいの(笑)。だから、演奏を聴かせるとかそういう音楽の聴き方もやり方もあまりしたことがなくて。

CONTRAST [インタビュー] NINGEN OK | 出会いから生まれたバンドの目的―

へぇ、意外ですね。てっきりポストロックの固有名詞が出てくるかと思ってました。

ケンイチ

タクロウの場合、二人組だったら、まずB’zだよね。


タクロウ

そうそう。バンドマンと音楽の話になるとビビるというか、ちょっと分からないことが多いんですよね。でもかと言って、「うーん…」となるのも失礼なんで、「…はい!」みたいに答えてしまって(笑)。


ケンイチ

三人でやっていた頃もインストの曲なんて一曲もなかったですし。でも僕らが根本的に表現したいのはロックなので、ロックの軸はこの先もぶれないと思うんですよ。生楽器に重点を置いているので、それ以外のところで活動を広げようという感覚も今のところないですね。

鋭い曲を際立たせるために

今日はサポートメンバーのサキナさんも同席していますし、せっかくなのでお話を聞かせてもらいたいですね。サキナさんは最初からNINGEN OKに関わっているんですか?

サキナ

いえ、大体二年ぐらいですね。


ケンイチ

最初の二年間ぐらいは二人でやっていて。サキナが入ってから、また二年ぐらいが経ちますかね。

CONTRAST [インタビュー] NINGEN OK | 出会いから生まれたバンドの目的―

キーボードが入ると、純粋に曲の振り幅が広がりますよね。

ケンイチ

そうですね。二人でやっていた曲に、上からシンセが乗っかったものが多いですね。

サキナさんをサポートに迎えた経緯というのは?

サキナ

一緒にやらせていただく前からNINGEN OKが好きだったんです。個人的にお客さんとしてライブを観に行っていたので、まず携われることが自分としては幸せなことで。関われるようになってからも、お二人の人柄も優しくて、音楽も元々好きだったので、すごく嬉しいんです。音源を出していないことには驚きましたね。

CONTRAST [インタビュー] NINGEN OK | 出会いから生まれたバンドの目的―

すごくいい話ですね。

ケンイチ

ほんと今では事務とか経理までお世話になりっ放しで(笑)。元々サキナはシンセじゃなくて、カホンを叩いていたんですよ。

え、全然違う役割じゃないですか。

サキナ

はい(笑)。


ケンイチ

僕らがやる曲は鋭いものばかりだったので、それを際立たせるために柔らかいものをやりたいと思っていた時期があって、それでアコギの曲をやろうかという話になって。でも、アコギとドラムだと、僕のドラムはイメージ的に硬いので、柔らかくなりきれないというのがあって。それでイベントで知り合ったサキナがカホンを叩いているのを知っていたので、最初はカホンとアコースティックギターとシンセでやる曲をやってみたいなと思って誘ったんですよ。それでスタジオに入ってカホンの曲を作ってみて、最初は僕が弾けないながらにシンセを弾いていたんですけど、そのときはサキナがピアノを弾けるということを知らなくて。スタジオで僕が人差し指だけでシンセを弾いている姿をサキナが見て「教本、貸しますよ」という展開になったんです。しばらくは、ウサギとかクマとかが出てくる教本を借りて練習してましたね(笑)。

基礎の基礎からですか(笑)。

ケンイチ

そうですね(笑)。でも「いや、待てよ」と思って、サキナにピアノを弾けるのか確認したら、全然弾けるということで。それで「シンセとかキーボード持ってるの?」って聞いたら、「ちょうど二、三日前に家で弾きたいから買いました」ということを知って。それをスタジオに持ってきてもらって三人で合わせてみたら、これは面白いなと思ったんですよね。

CONTRAST [インタビュー] NINGEN OK | 出会いから生まれたバンドの目的―