CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] Zをやり切るために

Zをやり切るために

Z(プロフィール)

Z

プロフィール Z
根本潤(サックス、ボイス)、魚頭圭(ギター)、弘中聡(ドラム)

2003年、THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUTのメンバーによって結成。2006年に1stフルアルバム『御壁』を自主レーベルgrok plastiqueより発表。catuneよりLP+DVDの二枚組バージョン、2007年にはイギリスのレーベルTRANSDUCTIONからCDのヨーロッパ盤がリリースされた。2009年には2ndフルアルバム『新今日』をCatuneよりリリース。2010年12月に根本歩(ドラム)が脱退し、2011年初頭には弘中聡(ドラム)が加入。

新体制で様々なバンドとの競演や自主企画「Z会」を継続開催してきたが、2012年4月に突然の解散を宣言する。ラストアルバムは8月15日にリリースされた3rdフルアルバム『絶塔』。そのリリースツアーを以て、Zは歴史に終止符を打つ。
Z ウェブサイト

解散。辞書で調べてみると、「集まっていた人が分かれてばらばらになること」と書いてある。その意味を理解すると同時に迫ってくる寂寥感。なんとも切ない気持ちになる言葉だ。

Zは解散する。理由はインタビュー本文で述べられているので、ここでは説明を避けるが、ひとつだけ触れておきたいことがある。Zのオリジナルメンバーである根本潤と魚頭圭は、彼らがはじめて結成したバンドSWIPEからZの前身にあたるTHERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT、そしてZと、三つのバンドで苦楽を共にしてきた旧知の仲。二人は15年の付き合いになるが、もうZを続けることもなければ、今は再び同じバンドで音を鳴らすかどうかもわからない。つまり何が言いたいのかと言うと、今回の解散は共にバンドを再生させてきたこれまでと、意味がまったく異なるということだ。新たなドラマーの弘中聡が2011年初頭に加入したばかりという背景も踏まえると、Zの解散には様々な思いが交錯している。

事実上ラストアルバムとなる『絶塔』をリリースした彼らに残されているのは、これから始まるリリースツアーと幾つかのライブのみ。終焉の日に向かう各々の心境をここに記録する。
撮影協力:PoPo, LIVE HOUSE FEVER

Text by Shota Kato Photo by アカセユキ(http://www.yukk.info/

モチベーションが下がっていった理由は機械的になっていく自分

魚頭さんは2度目のインタビューですね。

魚頭

あの時とは状況が変わったなぁ。

まさかZもAS MEIASもこんな流れになるとは思ってませんでした。

魚頭

そうだね。

今回が最初で最後のZインタビューということで、最後の音源以外に活動スタンスについても網羅する形で伝えたいと思っているので、よろしくお願いします。

一同

よろしくお願いします。

まずは解散の経緯から伺いたいんですけど、4月25日の水曜日に突然Twitterで発表されて、あれは激震としか言い様がなくて。

根本

4月25日があの飲み会だったんだ。

細かい時間で言うと、午前3時2分にツイートしてますね。

根本

まさに西荻でベロベロだった時だ。


弘中

あの店、潰れました。


根本

マジかよ!?


魚頭

マジで?


弘中

解散しました(笑)。


根本

あぁ、あそこも解散しちゃったんだ。切ねえ…。

24日に練習ないしミーティングがあったんですか。

魚頭

そうそう。でも解散は、去年の11月の終わりぐらいから決まってたんだよね。

そうなんですか。発表までに間が空いたのは?

根本

本決まりの発表のタイミングが4月25日。そもそも解散のきっかけになったのは、僕が辞めたいって言ったことなんですよ。去年の11月の時点ではとりあえず受け止めてもらったんだけれども、しかし待てよと。アルバム制作を続けている間に二人からは、「なぜそんなに辞めたいのかがよくわからない」と言われて。でも俺としては、これが最後のアルバムだとか、これで終わるってことが決まらないと、どうにもこうにもこの先のモチベーションが上がらないという話をして。その具体的な話し合いが4月だったっていう。

CONTRAST [インタビュー] Z | Zをやり切るために―


弘中

そうですね。理由を教えてくれという。

Z会をコンスタントに企画してきて、今回の『絶塔』は3年振りのアルバムにあたりますし、聡さんも加入したわけじゃないですか。根本さんのモチベーションが下がり続ける理由がわからないんですが。

根本

そうだよね。Zという枠の中で、Zがないと自分のオリジナリティがないというのかな。Zでできることをある程度わかっているつもりなんだけれども、それにしても例えば、ライブで演技をするようになってしまうとか、こう叫べば、こういう歌詞を作ればこうなるとか、そういったものが自分の中で形状化されてしまって。俺は技術に対してコンプレックスを感じる人だから、それを補うという意味でも、身振り手振りを交えて歌ったり、言葉の選び方にこだわってきたわけなんだけど、そういうスタイルでやることによって機械的になっていく自分、それがモチベーションが下がっていく理由なんだよね。だから、そこから完全に離れたいというのが一番。そして次に、全然違う人とまったく新しいことをロックフォーマットでやってみたい。そういったことがあったの。


弘中

二番目は聞いたことなかったです。


根本

言ったべや!(笑)


魚頭

言ってたよ(笑)。


弘中

聞いてなかった(苦笑)。


魚頭

まぁ、酔っぱらってたからね。

脱退の話を聞いて、二人はどう思いましたか。

魚頭

アルバムの制作が去年の8月からプリプロを始めて、本チャンが10月で、ネモジュンのヴォーカルとサックスの録りを始める直前に、ネモジュンと俺とでスタジオに入って、曲のアレンジを練っていた最中だったんだよね。モチベーションの低下は俺も聡も前から気付いてたんですよ。それは一過性のものかもしれないし、どこから来るものなのかもその時は深く考えていなくて。アルバムの制作に入ってるから、やる気を出してくれると勝手に思ってたんだけど、それでもアレンジを詰める作業の中で、ネモジュンのモチベーションがかなり下がってることは一緒にやってて分かった。それで「音楽的な作業以前に、Zっていうバンドを続けたいかどうかっていうことじゃないの?」っていう質問を投げかけた時に、Zを辞めたいということをはじめて知ったの。

CONTRAST [インタビュー] Z | Zをやり切るために―

なるほど。

魚頭

バンドに限らないんだけど、やる気がないメンバーがいたらダメだと思うんだよね。それは一緒にやっていればわかっちゃうし、ネモジュンのことを考えても、やる気がないのにやるっていうのは辛いと思う。ただやっぱり人の気持ちだから、アルバムの内容がほぼ見えてくる時に、もう一回気持ちを聞こうと思ってたんだよね。とりあえず辞めたい気持ちはわかったと。でもアルバムを作ってみて、もしかしたらZを続けたいと思うかもしれないからさ。

それを確認したのが4月だったと。

魚頭

そう。その時に「もう一回考え直せないのか」と引き止めたし、「新しくやりたいこととの掛け持ちじゃダメなのか」とか、自分も後悔したくなかったから細かく全部質問して。それでもネモジュンの答えはZを一度辞めたいっていうことだったから、とりあえず辞めたい気持ちはよくわかったと。

聡さんは?

弘中

びっくりしました、ほんとに。辞めるタイミングが今ってことに。

聡さんがZに加入したのが、2010年の終わりですよね。

弘中

そうですね。歩さん(根本歩、Z前ドラマー)が抜けて俺が入って、今からやっていこうっていう時にネモジュンさんから話があったんですよね。

「バンドとしては続けたくないけど、この作品は残したい」

根本さんと魚頭さんはこれまでSWIPEとゼアイズ(THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT)の解散を経験していますけど、今回のZの解散はまた意味が異なると思っていて。

魚頭

もう受け入れたことだからね。個人的に強く思っているのは、終わり方っていうのかな。ネモジュンが辞めるってことは俺の中で二つ解釈があって。まず音楽的にZでやってることに興味を持てなくなってることは『絶塔』のレコーディングより前から感じてた。それは曲を俺が中心になって作っていて、俺が持ち寄るものが単純に趣味じゃないっていうことなんだけどさ。

それ辛くないですか。

魚頭

辛いよ。バンドをやってる人は分かると思うんだけど、曲の作り始めって、メンバーに聞かせた時点での反応ってすごく気になるんだよね。でも今思えば、いい反応だった試しがないっていうか、作り始めは漠然としてるしそれはしょうがなかったんだけど、それでも結果、ネモジュンの歌なりサックスが乗ることでZの音になるっていうことは、自分がZでやることの芯だったから。けど、興味がないことに自分がどう向き合うかっていうことは、ネモジュンからしたらすごく辛いと思う。俺が出してきたものに対してどう答えるかっていうことで、それが自分たちの本当にやりたいことなのかは作品が完成するまでは未知数なんだけど、そのやりとりは『新今日』の時からずっとあったし、俺も正直辛い部分があった。いつかこうなるんじゃないかっていう不安もあったし、『絶塔』の曲を作ってる段階でも、曲に対して強く拒まれることもあった。そういう意味で、やりたい音楽が先にあるんじゃなくて、一緒にやってることが先にあるやり方は限界なのかなと。

CONTRAST [インタビュー] Z | Zをやり切るために―

はい。

魚頭

俺はZを回していく中で、それでも作ってかなきゃいけないなって思ったの。音楽って別にやんなきゃいけないことじゃないから、やんなくてもいいんだけどさ。でもZが存在している以上はやるっていうのが基本にあって。聡が入ってくれて新しい体制でアルバムを作るってなったら、その作業をやるしかない。そう俺は思っちゃうタイプで。また辛い作業に突入していったわけだけど、そこが限界の始まりだった。ネモジュンは言わないからね、性格的に。その中で相当我慢させたと思う。俺のそれでも強くやるしかない気持ちに、ネモジュンが反比例して引いてく感じは否めなかったっていうか。


根本

「全員OUT」の時は大変だった。「リフがどうしても受け入れられないんだ」っていう話をウオにして。その時の感触から曲の細部での自分の好みのことを話すのはあまりよくないのかなってかなりへこんだし、ウオの説明を聞いたら残さざるを得ないんだろうなとも思って、結果的に残っていたりもするし。だから俺はトータルで見るしかないんだよね、Zについては。細部について言ってもしょうがないというのは、その時に話してわかったことでもあって。

CONTRAST [インタビュー] Z | Zをやり切るために―


魚頭

俺の中では、それでも最終的にはやってくれて、いいものができるんじゃないかなと信じるしかないというか。だから途中で解散ということは決まったけど、この作品だけは今のやり方でやり切るっていう。長い時間をかけてやり方を模索していった中で、ネモジュンに人として感じさせちゃったこととか、それをバンドの活動を優先させることによって、ちゃんと拾えなかった部分とか、それは俺の責任でもあるし。でもバンドを回していく中では、あの時あの判断がよかったのかは未だにわからないけど、アルバムを作るという意味ではそうするしかなかった。

魚頭さん、インタビューの時に「一緒にやるメンバーが大切」って言ってましたよね。

魚頭

そうなんだよね。それが今回、自分でそういうふうに分かっていたのにできなかったんだよね。アルバムを作ることを俺が優先したのもそうだし、長い間で気持ちの部分とか、今どう考えてるのかっていう確認をおざなりにしてきたっていうか、長くやってきてるからいいだろうっていう部分がお互いにあって。それで結構、兄貴を疲弊させた部分があると思う。


根本

ウオからアルバムを作ってる段階で「やりたいのか、やりたくないのか」って聞かれた時に、「バンドとしては続けたくないけど、この作品は残したい」ということは主張したんですよ。それはなぜかと言うと、これはリスナーとしての視点もあるけど、聡に入ってからのZで作品を残したいと思ったから。そうなったら俺も最後のアルバムでこのメンバーで作るものってなったら頑張る、頑張りたいと思えるんじゃないかってところがあったから、自分の認識としてはそこからやっとモチベーションが上がって作り出したんだよね。でもモチベーションを上げながら作っていく中で、最終的にそれぞれの視点で見て、それぞれがいいと思えるものができたのは間違いない。

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