CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] 僕らは日本に憧れる

僕らは日本に憧れる

SILENT SCENERY(プロフィール)

SILENT SCENERY

プロフィール SILENT SCENERY
マレーシアはクアラルンプールを拠点に活動するポストロックバンド。

メンバーはKit(ギター、ヴォーカル、サイロフォン)、Ivan(ギター、ヴォーカル、キーボード)、Seikan(ドラム、ヴォーカル、パーカッション)の3人。2008年にデビューEP『When We Escape From The Moonlight』をリリース。最新音源は2011年にリリースされた1stフルアルバム『These Still Moments』。日本のアンダーグラウンドの音楽に影響を受け、エモやポストロック、オルタナティブなどの要素を独自に昇華。現在は自分たちのスタジオを構え、マイペースに音源制作やライブに取り組んでいる。
SILENT SCENERY ウェブサイト

2012年4月30日。海を越えてマレーシアから二人の青年が日本にやってきた。彼らの名前はIvanとSeikan。SILENT SCENERYというロックバンドのメンバーである。観光目的ではなく、東京のライブハウスでライブをやるために、彼らは日本を訪れた。

ひとえにアジアの音楽と言えば、民族楽器のオリエンタルな響きを想像する人が多いのかもしれない。少なくとも僕はその一人なのだが、SILENT SCENERYの音楽性にはそれが微塵にも見当たらない。彼らが色濃く影響を受けているのは、ポストロックやオルタナティブロック。とりわけ日本のアンダーグラウンドの音楽からの影響が強いと話す彼らにとって、日本でライブができることは特別な意味を持つ。つまり「念願成就」の一言に尽きるのだ。

今回はSILENT SCENERYの二人に、彼らの恩人である中村圭作(kowloon / stim / WUJA BIN BIN)と日本のライブでサポートメンバーを務める朴善英を交えてインタビューを敢行。マレーシアの文化や音楽事情、彼らが送る日常生活からマレーシアと日本との違いが見えてくる内容になっている。

通訳一切なし、オール日本語による異文化交流インタビューをどうぞ。
撮影協力:新宿NINE SPICES

Text by Shota Kato Photo by Takuya Nagamine

「日本でライブやっちゃう?」

SILENT SCENERYの二人は4月30日から5月8日まで日本に滞在するんだよね。今日7日がラストライブだけど、日本はどうですか?

Ivan

楽しい。


Seik

その反面疲れる。初日は夜の11時に着いて、急いで行けるところまで行ったんですよ。池袋まで行ったら、もう東武練馬はシャッターダウンみたいな感じで。

CONTRAST [インタビュー] SILENT SCENERY | 僕らは日本に憧れる—

東武練馬(笑)。なんで東武練馬なの?

Seik

親戚が住んでるんです。

そっか、Seikanはお母さんが日本人なんだよね。

Seik

富山の人。

へぇ、富山の血が流れてるんだ。

Seik

そう。Toyama Blood!

じゃあ、お父さんがマレーシア人なんだね。

Seik

マレーシアの人。船長でした。

船長?

Seik

船で富山行って、富山の女の子を持って返ってきたっていう。

ほんとに?(笑)今も船長をやってるんだ?

Seik

運送会社。

へぇ。ちなみに、終電がなくなってからはどうしたの?

Seik

池袋まで行って、漫画喫茶で過ごしたんです。なんだっけ?「ゲラゲラ」?

「ゲラゲラ」(笑)。

Seik

Ivanが「疲れたからお前どっか探してこい」みたいな感じで、僕見つけてきたんですよ。

荷物、大変だったでしょう?

Seik

そう。スーツケースとドラムとギターと全部。


Ivan

はじめて漫画喫茶に行きました。

じゃあ、漫画を読んで一晩過ごしたんだ。

Ivan

インターネット。


圭作

文字読めないんだっけ?


Ivan

ひらがなとカタカナ。


Seik

僕、Chinese学校行ってるから漢字も。

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二人ともすごいなぁ。Ivanのご両親はマレーシアの人?

Ivan

マレーシア。

(笑)。Ivanははじめての日本?

Ivan

もう2回目。前は家族の旅行で。

Seikanは小さい頃から?

Seik

バリバリ来てる。


圭作

バリバリ(笑)。

SILENT SCENERYはtoeがアジアツアーでマレーシアに行った時に、圭作さんと知り合ったんだよね。

Seik

2月のある日、「Air Asiaが安いぞ!」って往復2万円くらいの日本行きのチケットを買ったんです。その時は観光で行くつもりだったんですけど、3月にマレーシアのtoeのライブを見に行って、前も台湾行った時にお世話になったGaryさん(Gary Leong, White Noise Recordsオーナー)がいて、楽屋に連れてってくれたんです。Andyさんと会おうとしたら、廊下に圭作さんがいました。

Andyさん?

Seik

Andyっていうマレーシア人なんだけど、前に「kowloonでマレーシアに来ないか?」ってメールしてくれたことがあって。マレーシアに来たから会おうと思ってコンタクトをとったら、仕事終わったら来てくれるってことになったんだよね。 Andyはレコード屋さんをやってるんだっけ?


Seik

イベンター。マレーシアのイベンターって、マルチイベントみたいな感じです。サーカスみたいなこともやってて。


圭作

商店街でマジシャンがマジックをやってる画像を見せられて、「kowloonマジで行っていいのかな?」って不安になったんだよね(笑)。

たしかに(笑)。

Seik

僕らもバンドだけで生きてらんないですから。イベンターもウェディングとか、色々なことをやんないと生きていけないですから。


圭作

なるほどね。

手広くやってるんだね。じゃあ、Garyさんに圭作さんを紹介してもらったんだ。

Seik

その時にいろいろ話して。


圭作

最初は英語で話してたんだけど、「あれ?なんか日本語通じるな?」と思って。


Seik

で、その後ホテルに帰って、toeの皆さんは疲れていたそうでホテルに残って、僕たちと圭作さんとカナコさん(山本佳奈子、Offshore主催)とGaryさんで、一緒にシュウマイ食べに行きました。


圭作

小籠包ね(笑)。


Seik

そこで話して「今度、観光で日本に行くんですよ」みたいな感じで言ったら、圭作さんが「日本でライブやっちゃう?」って。


圭作

二人がバンドやってることは知ってたから「来るならやっちゃう?」って。そしたら「やりたい!」って即答されて(笑)。帰国してから、いつもお世話になってるライブハウスに相談のメールを送って、ライブの日にちを決めて。「東京4日間だけだけど、それでもやる?」って聞いたんだよね。さすがにライブ以外に日本で遊びたいかな?と思ってたんだけど、「全部やります!」って言われちゃって(笑)。

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あはは!(笑)

Seik

せっかくだからねー。全部やらないと。


圭作

「マジかよ」みたいな(笑)。


Seik

本当に感謝してます。


圭作

「SILENT SCENERY Japan Tour」とかウケたけどね(笑)。間違ってないんだけど、実は東京だけっていう(笑)。


Seik

大阪とか行くと、マレーシアから日本行くよりも高くなっちゃう。

2万の飛行機で来てるもんね。これだけタイトなスケジュールでライブやるのははじめて?

Seik

そうだね。結構タイト。

大変でしょう?

Seik

よく乗り越えたよね(笑)。


圭作

まだ今日は乗り越えてないけどね。

(笑)。ライブ以外ではどこかに行った?

Seik

僕は富山に行ってきました。

お母さんの生まれ故郷に。

Seik

あとはWWWにCeroPredawnのライブを見に行きました。Predawnが印象的でしたね。声がすごく良い。シンガーソングライターが今マレーシアで流行ってる。プリドーン世界的に売れると思うよね。「日本語で歌うのかな?」とか思いきや、英語がベラベラで驚きました。

日本のツアーが夢だった。

そもそもさ、どうして二人は日本に来たかったんだろう?

Ivan

日本のツアーが私たちの夢でした。


Seik

目標の一つでしたね。toeとかCinema Staffみたいなジャンルの音楽を目指してたから。

他にはどんなバンドが好きなの?

Ivan

アルカラ。


Seik

mouse on the keys、あとkowloon。

日本のバンドを間近に見れて楽しかったでしょう?

Seik

楽しい。すごいバンドばっか。レベル高い。

マレーシアでは、どんな日本のバンドが有名なの?

Seik

ビジュアル系が有名。ジャパンはビジュアル系みたいな。ガゼットとかGLAYとか。でも、SILENT SCENERYとしてはtoeに超影響受けてる。

CONTRAST [インタビュー] SILENT SCENERY | 僕らは日本に憧れる—

でも、エモとかポストロックはさ、誰もが聴いている音楽ではないわけでしょう?

Seik

じゃない。マレーシアでもそうです。日本ではどうなんですか?

二人が好きな音楽は日本でもアンダーグラウンドだよ。すごくかっこいいけどね。俺もそういった音楽が好き。日本のアンダーグラウンドの音楽はインターネットで知ったと思うけど、マレーシアでは日本の音楽のCDは売ってないんだよね?

Seik

はい。


Seik

アメリカのメジャーなやつとか、テレビとかで出るような。僕は16歳の時からバンドをやり始めて、最初から日本のロックをやってて。

どんなのをやってたの?

Seik

女の子ヴォーカルのGO!GO!7188のようなバンドをやってました。それをやり始めてから、友達の紹介でSILENT SCENERYに入ったんですよ。


Ivan

あの時はドラマーを探してて。

じゃあ、Ivanがもともとのメンバーなんだね。

Ivan

はい。もともとは普通のロックバンドでした。オルタナティブ。


Seik

今やってる音楽はメンバーが一人一人違うバンドにいたから、それが混ざってなんか変なもんになっちゃったんだよね。

そういえばさ、SILENT SCENERYにはもう一人メンバーがいるよね?

Seik

もう一人のギタリストのKit。Kitのメロディーがペンタトニックみたいなメロディーなんですよ。それで、なんかオリエンタル系になっちゃってね。


圭作

キーパーソンなのにいないっていう(笑)。

なんでKitは日本に来なかったの?

Seik

ワーキングホリデーでニュージーランドに行ってる。


パク

いつマレーシアに帰ってくるの?


Seik

9月。


圭作

アルバムのジャケの女の子と付き合う予定なんだよね。


パク

付き合う予定!?


圭作

その子がニュージーランドに住んでるんだって。昨日「会いに行ったんじゃない?」っていう話をみんなでしてたんだよね。憶測だけど(笑)。


二人

絶対そうだよー。

あはは!(笑)。

Ivan

だからKitも後悔してるんじゃないかな。


Seik

僕らが日本にくることがね。だけど、普通にニュージーランドで楽しんでるよね。「行ってこいや」みたいな感じで言われて、ちょっとイラついた(笑)。

曲は誰が作ってるの?

Seik

曲はみんなで出し合ってます。歌詞はKitが書いてます。

今日Kitがいないのはまずいなぁ(笑)。

Seik

いる設定にして(笑)。ほんとはKitが歌うんですけど、いない間はIvanが歌ってます。


Ivan

ギターのパートと歌がちょっと難しい。

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