CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] 通過点の次に待っていた世界

通過点の次に待っていた世界

mouse on the keys(プロフィール)

mouse on the keys

プロフィール mouse on the keys
2006年結成。川崎昭(drum, keyboards)、清田敦(piano, keyboards)、新留大介(piano, keyboards)の3人編成。シリアスなピアノサウンドとロックドラミングの融合を目指すインストバンド。
2007年に1stミニアルバム『session』をリリースし衝撃を呼ぶ。2009年の1stフルアルバム『an anxious object』のリリースは更にバンドの知名度を上げ、ドイツdenovali recordsより両作品をヨーロッパを中心にライセンスリリース。その後ヨーロッパツアーを敢行し、2011年に行なったツアーの模様を映像作品『irreversible』にパッケージし、リリース。彼らの評価は海外においても高く、世界的なNew Jazzの旗手として注目を集めている。2012年7月18日、最新作『machinic phylum』を3年振りにリリース。FUJI ROCK FESTIVAL 2012への初出演も決まり、今年も精力的にライブ活動を継続中。
mouse on the keys ウェブサイト

1stフルアルバム『an anxious object』のリリース以降、国内外のライブに専念して、バンドのビルドアップに取り組んできたmouse on the keys。躍動感と即興性を取り込み変化してゆく過程は、彼らのヨーロッパツアーに迫った映像作品『irreversible』にも刻まれていた。

今回mouse on the keysは長い沈黙を破って、3年ぶりの単独音源となる『machinic phylum』をリリースした。全4曲には、彼らがライブで培ってきた上記の要素が凝縮されているだけでなく、これから向かおうとする新たな方向性が示されている。

『irreversible』をリリースしてから約10ヶ月が経つ今、mouse on the keysが次に見据えている世界観とは何なのか?昼下がりの西荻窪、メンバーそれぞれと言葉を交わす。

Text by Shota Kato Photo by Takuya Nagamine

mouse on the keysの美味しいところを集めた幕の内弁当

『machinic phylum』は単独音源としては3年ぶりになりますけど、リリースという意味ではDVD『irreversible』灰汁とのチャリティ曲の配信を挟んできましたよね。

川崎

そう、何気に色々とやってるんだよね。CM音楽もあったしね。

ライブで皆さんのアグレッシブな変化を目の当たりにしてきた自分としては、3年空いたというよりも空けたようにも感じるんですけど、実際のところはどうなんでしょうか。

川崎

正しくは空いちゃったが正解。曲を作るということに時間が掛かったというより、これからどうしようかなと考えていた時期が長かったからね。バンドとしてもヨーロッパツアーに行ったり、灰汁とやったりしたことも含めて、演奏にフリーでセッションする要素が出てきたり、アグレッシブな感じにすごく変化していたから。それを新作にどう盛り込むべきか悩んでいたよ。この3年間で俺個人としても音楽の捉え方も変わってきて。

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少し突っ込んで聞かせてもらえますか。

川崎

以前はきっちり作り込んだものを再現するという方向だったけど、ライブの躍動感とか偶然性みたいなものをバンドに取り込みたい興味が膨らんできたんだよね。でも、それを次の音源にどう反映するのかはあまりイメージできていなくて。単純に言えば、重ね録りじゃなくて一発録りして良い感じの音源ができればいいなと思っていたんだけど、実際に今回取り組んでみて、まだそれはできないなと。作曲中はずっとセッションを繰り返してきた時期もあったんだけど、整理するのに時間が掛かってね。さらにまとめたものを練習して一発録りできるところまで持っていくには時間が足りなかった。だから、僕らとしては結構ギリギリでやってたっていう。


清田

3年も空いたけど、ギリギリでしたね(苦笑)。でも、結果として良いものができたから良かった。

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『machinic phylum』は1,2曲目と3,4曲目で分けられると思っていて。

川崎

結果的にそうなってるんだよね。


新留

「plateau」は1年前ぐらいからありましたよね。


川崎

そうだね。2曲目の「plateau」は缶コーヒーROOTSのCM用に使われたものを広げた曲なんだけど、他の曲はそれ以降にできたものだね。今回のミニアルバムはmouse on the keysの美味しいところを集めた幕の内弁当にしたかった。僕らの攻めてる感じを体現した曲をミニアルバムとして出そうと。細かくて十六分音符のmouse on the keysらしい曲を作ろうと思ったんだけど、ちょっと待てよと。真逆のゆったりとした曲があってもいいかなと思って、3曲目の「clinamen」ができて。

1曲目の「aom」は特に躍動感と偶然性が凝縮されているように感じます。

川崎

「aom」は「agglomeration of mouse(on the keys)」の略で、マウスの塊みたいな意味なんだよね。この曲自体は3人でセッションした音を切り貼りして作っていて、偶然できたフレーズをさらにまた打ち込んでそれを演奏するみたいな作業を経て出来た。そしてmouse on the keys史上初の三人合作曲なんで、我々のフレーズの集合体という意味も込めて、この曲名にしたんだよね。

なるほど。その一方で、4曲目の「memory」だけストレートかつシンプルなタイトルですよね。

新留

「memory」はコラボレーションの曲で、もう一人の作曲者であるレヴォン・ヴィンセントがタイトルを付けたんだよね。レヴォンから音を送ってもらったんだけど、曲っていうかシンセの一つの音色でできてる繰り返しのフレーズが何パターンかあるものだったんだよね。本人曰く曲なんだけど、それをアレンジして。

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レヴォン・ヴィンセントって何者なんですか。

川崎

アメリカのアンダーグラウンドハウスのDJ・プロデューサーなんだけど、最近はfablicのミックスCDをリリースしていて。


新留

レヴォンは自分でレーベルもやっていて。彼はアメリカ人なんだけど、ベルリンに住んでいるんだよね。お互いにリリースしていこうと話をしていたんだけど、なかなかタイミングが合わなくて。それで、今回のEPに合わせて作り始めたっていう感じだね。

そもそもはどんな繋がりなんですか。

新留

レヴォンがDJで来日した時に、コウくん(mouse on the keysの舞台演出家)が彼のアテンドをしていて。


川崎

コウくんは、金沢21世紀美術館のライブで使った立体スクリーンを作ってくれた人物で、普段はフェスとかファッションショーの舞台運営を本業にしているんだけど、僕らのライブも手伝ってくれていて。その傍らで海外のクラブアーティストのアテンドもやりつつ、僕らの曲を紹介してくれていて。


新留

それでレヴォン・ヴィンセントにも聴かせたら反応が良かったみたいなんだよね。レヴォンもウチらのFacebookのファンページに「一緒にやろうぜ」みたいなコメントを書き込んでくれて、そこからメールで直接やりとりを始めたっていう。

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