CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] あたしからあなたへ

あたしからあなたへ

aoki laska(プロフィール)

aoki laska

プロフィール aoki laska
神奈川県出身のシンガーソングライター。2011年12月、1stミニアルバム『about me』を& recordsよりリリース。プロデュース、録音、ミックス、マスタリングを手掛けたのは、彼女が敬愛してやまないfolk squatの平松泰二。また、YOMOYAの長倉亮介、4 bonjour’s partiesの日下部裕一も制作に協力しており、まさに& recordsの日本人勢が総力をあげてバックアップする逸材。基本的には彼女のピアノないしオルガンと、声というコアに、最低限の意匠だけ施した、とてもシンプルで、いわば名刺代わりの一枚であるが、安藤裕子やクラムボンの原田郁子などにも通じる、個性的かつ滋味溢れる彼女の唄の世界を存分に味わえる一枚。

最新作は2012年6月13日リリースの1stフルアルバム『it’s you』。今作も平松が全面プロデュースを手掛けている。ライブの核となりつつある「物語」や「ひとつになりたい」、平松のトラックが冴え渡る、ポップな「みてみて」「kiseki」、エイミー・マンのカヴァーなど、どんな楽曲にも彩りを与える彼女の歌声の魅力を存分に伝えるバラエティに富んだ全10曲。彼女は本物。

aoki laska ウェブサイト
& records ウェブサイト

つもりの自分と周りから見た自分。主観と客観のギャップを埋めることで、人は成長する機会を与えられる。家族、友人、職場の同僚だったり、長い時間を共に過ごす人たちは、自分自身の鏡。aoki laskaのインタビューを終えて、「気付かされる」ことの大切さに思いを巡らせた。

aoki laskaは自ら書いた歌詞と曲を歌う、いわゆるシンガーソングライターである。やわらかく琴線に触れる歌声を持つ彼女は、名門& records初の日本人女性シンガーソングライター。folk squatの平松泰二や元YOMOYAの長倉亮介らが彼女をサポートする体制からも、アンダーグラウンドの音楽シーンとの関わりを持っている表現者であることが分かる。

個人的に前述の第三者たちとの関わりを通じて、aoki laskaはその表現に磨きをかけてきたように感じている。今もその最中、長く弾き語りの活動を送ってきた彼女にとって、他者との関わりは、これまでにない大きな経験値をもたらしているのではないだろうか。晴れてリリースされる1stフルアルバム『it’s you』には、1stミニアルバム『about me』以上に楽曲のバリエーションは富んでいるし、彼女の歌声も様々な表情を見せている。”me”から”you”に人称代名詞が変化した点は、心情の変化を表しているのかもしれない。

生い立ちから最新作まで、aoki laskaは自身を切り取る様々なエピソードを語ってくれた。

Text by Shota Kato Photo by Takuya Nagamine

「自分のためだけに歌わないで」

まずははじめて出演したARABAKI(ARABAKI ROCK FEST.)の感想を聞かせてもらえますか?

aoki

そうですね。やっぱり今までで一番大きなステージでしたし、通りがけのお客さんが入ってくるのが見えたりして気持ち良かったですね。終わった後、泣きました。嬉しかったし、なんだかすっきりして。

やりきったと。

aoki

はい。あとARABAKIみたいに大きなイベントで演奏できるなんて思いもしなかったから。なんとなくARABAKI以前、ARABAKI後になるなと思っていたんですよ。節目というか。

CONTRAST [インタビュー] aoki laska | あたしからあなたへ―

なるほど。今回はaoki laskaさんの存在を色んな方に知ってもらいたくて、インタビューのお声掛けをさせてもらいました。

aoki

うれしいです。ありがとうございます。

1stフルアルバム『it’s you』のリリースに先駆けて、たくさんの方々からコメントが寄せられていますよね。

aoki

そうなんですよね、ありがたいことに。

やっぱり”声”についての絶賛が多いですけど、laskaさんはご自身の声をどう捉えているんですか?

aoki

これはわたしの感覚なんですけど、特定の感情を特定の声で伝えたいというのははっきりしていて。例えば、やさしい感情を表現したかったら薄めの声を出すんです。そういったことに沿って、表現したいことに合わせて必要な声を出しているといった感じかな。でも暗い言葉をやさしく歌う場合もありますね。

laskaさんの声には、”包容力”と”やわらかさ”が共通していると思っていて。それが今までに体感したことのないタイプのものだったんですよね。

aoki

基本は同じですけど、昔は少し違う歌い方をしていたんですよ。でも『about me』(1stミニアルバム)を作っている頃に今の歌い方になりましたね。

以前ってどんな感じだったんですか?

aoki

もうちょっと直線的でしたね。自分が良ければそれでいいというか。長倉さん(長倉亮介、ex.YOMOYA、aoki laskaのバックバンド・オドルバンドに参加)とデモ作りをしている時に、「自分のためだけに歌わないで」みたいなことを言われたことがあって(笑)。一生懸命高い音を出すとか、そういうことにフォーカスしていて、遊びの部分がなかったんですよ。長倉さんは「ちょっと力を抜いてみればいいじゃん」って言ってくれて。ガラッとスタイルが変わったわけじゃないんですけど、歌う心構えとしては「伝わるように」ということを意識するようになりましたね。だから、やわらかさが出てきたのかもしれない。

指摘をすんなり受け入れられましたか?

aoki

いえ、そこからダメ出しみたいになって、飲み屋でぶすっとしてましたね(笑)。でも意見を持ち帰ったら「あぁ、こういうことなのかもしれない」と。それまでは一生懸命で空回りだったんですよね。

CONTRAST [インタビュー] aoki laska | あたしからあなたへ―

技術を頭で考えずに自然にやるということが難しい。

幼少の頃からピアノとクラシックバレエを習っていたそうですけど、音楽が身近な環境だったんですか?

aoki

ピアノとバレエはお母さんに連れられて(笑)。でも習い始めた頃から楽しくて「今日は何するの?」みたいに、気になって仕方なかったらしいんですよ。ピアノとバレエは違う教室だったんですけど、週2ぐらいで通っていて。けっこう忙しい子どもでしたね。

両方ともいつまで続けていたんですか?

aoki

ピアノは中学でやめてバレエは高校3年までやってました。

あれ?今を考えるとピアノのほうが長く続きそうなのに。

aoki

天秤にかけて、「もうピアノは頭打ちかもしれない」みたいな感覚があったんですよ(笑)。まだ歌うということに対して具体的に何も出来ていない状態でした。

音楽はどんなのを聴いてました?やっぱりクラシックですか?

aoki

はじめて買ったCDはMY LITTLE LOVERの『Man&Woman』でしたね。自分にとって大きかったのはCHARAさん。YEN TOWN BANDの『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』を聴いてから、CHARAさんのスタイルだけじゃなくファッションまで影響を受けましたね。CHARA with THE 99 1/2も聴いてましたし、自分の好みにグッと入ってきたのはCHARAさんがはじめてでしたね。

CONTRAST [インタビュー] aoki laska | あたしからあなたへ―

なつかしい(笑)。そこまで追ってると、本当に好きだったのが分かりますね。歌うことへの自我はいつぐらいから芽生えたんですか?

aoki

高校生の頃に歌やバンドをやりたいという気持ちはあったんですけど、まったく出来なくて。「どうやったらいいの?」って。

軽音部とか近道じゃないですか。

aoki

「軽音部はダサいな」と思ってました(笑)。

ははは!

aoki

悶々としていたんですけど、大学に入ってボイストレーニングに通い始めるようになってから変わりましたね。それまでは好きな歌手の楽譜を買って、家で弾き語りをやっていたんですけど、ボイトレの先生に「楽譜を見てオリジナルのメロディーを作ってきてごらん」って言われて、作曲もするようになって。「自分で曲なんか作れるわけない」って思い込んでましたけど、いざやってみると、小さい頃にずっと聴いてたクラシックがベースにあることに気付いて。不思議ですよね。クラシックが好きだなんてまったく思わないのに。

ピアノの弾き語りとして活動を始めたんですか?

aoki

そうですね。大学の頃にライブもやるようになって、そうしたら大学に通うよりも歌いたいと思い始めて、大学を中退してしまうんですよ。「私には歌しかない」と思いつつも「大学もやめちゃったし人生どうなるんだろう…」って悩んでいた時期でもありますね。ボイトレも今はやっていなくて。

なぜボイトレをやめてしまったんですか?

aoki

厳密に言うと、継続的にやっていないんですよね。1stミニアルバムの『about me』を作る前にうまく歌が歌えなくなってしまったことがあったんですけど、その時はボイストレーナーの先生のお世話になりました。でも、技術を頭で考えずに自然にやるということがわたしには難しくて。通っているうちに「こうやらなきゃいけないんだ」と思い詰めて歌うようになってしまったんですよね。今は感情表現のほうに重きを置きたいんです。でも、最低限の技術が必要だということは分かっていて。どっちも諦めていないんですよね。自分なりの技術と感情表現の兼ね合いがうまくいく方法を。

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