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CONTRAST [インタビュー] LITEはLITEで在り続けられる。

LITEはLITEで在り続けられる。

LITE(プロフィール)

LITE

プロフィール LITE
左から武田信幸(G)、井澤淳(B)、楠本構造(G/Synth)、山本晃紀(Dr)。
2003年結成、4人組インストロックバンド。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、エモーショナルでスリリングな楽曲は瞬く間に話題となり、また同時にヨーロッパのレーベルからもリリースし、ヨーロッパ、アメリカ、アジアツアーなどを成功。国内外で注目を集めている。2009年に自主レーベル【I Want The Moon】を立ち上げ、音響系 / ポストロックの巨匠で、TORTOISE、The Sea and CakeのJohn McEntireを迎えて、シカゴのSoma Studioにてレコーディングされたミニアルバム『Illuminate』をリリース。そして2011年7月には、3rd Album『For all the innocence』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、COUNTDOWN JAPANなどの大型フェスへの出演や、今年2月に恵比寿LIQUIDROOM、梅田Shangri-Laにてワンマンライブを成功させるなど、近年盛り上がりを見せているインストロック・シーンの中でも、最も注目すべき存在のひとつである。

LITEオフィシャルサイト

前作『For all the innocence』から1年足らず、LITEが新たにミニアルバムをリリースする。『past,present,future』というタイトルを目にして、勘の良い人は既に気付いているかもしれない。ここに収録されている全5曲は、LITEに根付くタイトでエッジの利いた昔ながらの彼らを感じさせる楽曲や、ここ最近の特徴であるシンセサイザーを採り入れた楽曲、さらには、ゲストにCarolineを迎えたヴォーカル曲。つまり、過去から現在に至るLITEの歩みと、最新型のLITEが凝縮されているのだ。

LITEは2月に、恵比寿LIQUIDROOMと梅田Shangri-Laにて二部編成のワンマンライブを敢行した。一部では4人のみで演奏、二部では『For all the innocence』を中心に、多彩なゲストミュージシャンとともに楽曲を再現した。集大成のライブを終えてもなお、歩みを止めることなくリリースされる今作は、今後のLITEを占う上で非常に重要な作品だ。彼らの新しい音楽が生まれようとしている。

インストゥルメンタルの枠を越えて、自由度の高い音楽を手に入れたLITEはどこへ向かおうとしているのか?これまでの変遷を踏まえた上で、武田信幸、山本晃紀、井澤淳の三人が、LITEのpastとpresentとfutureを語る。

Text by Shota Kato Photo by Masatsugu Ide

これから俺たちの音がどう広がっていくのか。

僕、一方的にLITEの皆さんとは同世代だと思っていて。自分は去年の12月で30になったんですけど。

武田

俺も12月で30になりましたよ。

おぉ、一緒だ。僕は28日生まれで石原裕次郎と渡哲也と同じ誕生日なんですよ。

武田

俺は11日です。モト冬樹と一緒で、全く同じタイプのG&Lを使ってたっていう(笑)。

え、ギターまで(笑)。

武田

運命を感じましたね。


山本

僕も1月24日に30になりました。

おぉ、嬉しいな。じゃあ、井澤さんも?

井澤

僕だけ84年生まれなんですよ

そうなんですね。最近まで入院してたそうですけど、今日は大丈夫ですか?

井澤

はい(笑)。ヘルニアだったんですよ。未だに痛み止めは飲んでいて、禁酒生活を送っているんですけど。


武田

禁酒なんだ?でも台湾の時、呑んでなかった?


井澤

すいません、呑んでました…(苦笑)。


武田

全然駄目じゃん(笑)。

(笑)。この前のサカナクションavengers in sci-fiと行った台湾ライブも、行けるかどうかの瀬戸際だったんじゃないですか?

武田

直後は「どうするんだろう…」っていう感じでしたけど、やれるっていうことで。


井澤

2月の頭に東京と大阪でワンマンライブがあったんですけど、その後にちょうどよく(苦笑)。3日間くらい入院したんですけど、もし一週間遅れてヘルニアになっていたら、台湾は危なかったかもしれないですね。

CONTRAST [インタビュー] LITE | LITEはLITEで在り続けられる。

間に合って良かったですね。

井澤

疲れが溜まっていたのもあって。

ワンマンは一つの節目だったと思いますし、それを終えて安堵した部分もあるのかも。

井澤

通り越して気が抜けてました(苦笑)。

今のLITEはとても充実していると感じるんですけど、ご自身たちは今の状況をどう捉えていますか?

武田

去年『For all the innocence』というアルバムを出した時に、トップギアまで入れたんですよ。それこそエンジンが焼き付くぐらいに。それからすぐに新しいことをやろうと『past,present,future』の制作に入ったんですけど、今はそれを終えて完全にニュートラルな状態だと思ってます。これから俺たちの音がどう広がっていくのかっていうことを幅広く考えられる時期ですね。

CONTRAST [インタビュー] LITE | LITEはLITEで在り続けられる。

山本さんはどうですか?

山本

僕も『For all the innocence』が集大成だったと思います。今は武田が言ったとおりフラットになっていて、今回のミニアルバムには昔のLITEっぽさも出ていて。昔みたいにジャムってスタジオで完結した曲もあれば、データのやり取りで進めた曲もあるし、エンジニアを含めてあーだこーだ言って、細かい一音をどうするか突き詰めた作品が完成したと思いますね。

井澤さんは?

井澤

席替えした方が良いんじゃないかってぐらいに以下同文です(笑)。

(笑)。

井澤

僕がLITEに入ってから8年続いていて、その歳月があったからこそ今の状態があると思うんですよね。例えば、メンバー間での自分の立ち位置を見つけるのってけっこう時間が掛かるじゃないですか。LITEが始まって、僕は後から入ったメンバーですけど、お互いの分からないことは全然あったし、一緒にツアーを回って人間的な部分が見えてきて。それって長い時間を共にしてきたからこそ出来たことなんですよね。

このままの音楽ではLITEをやれない。

初期のLITEって鋭角的な音をビシバシ鳴らしていて、それが先行して脳裏に焼き付いていたんですけど、今は演奏の時の佇まいも含めて印象に残るというか。4人やゲストミュージシャンで鳴らす音を心から楽しんでいるんだなと感じるんですよ。

武田

タイトで切れ味のある音楽を作っていた時って、お客さんを斬るじゃないですけど、すごいと言わせたい、言ってもらいたいっていう気持ちが強くて。でも、それを突き詰めていった時に、それではこじ開けられない扉があることに気付いたんですよ。自分たちもお客さんも開放的に出来ないなら何が楽しいんだろう?と思ってしまって。新しい音楽性にシフトしていくにつれて飽和してしまったんですね。

それはいつの時期ですか?

武田

『Phantasia』を出した頃ですね。そこで一度全てを出し切ったと思っていて。それから原点に還って新しい音楽を作りたいというモチベーションを感じるようになって、そうすることで自然と音楽が開けてきたんですよね。お客さんが反応してくれるようになって、自分も開かれるようになりましたね。一度自分たちの中で完結させたから、新しい気持ちになれたんだと思います。

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仕切り直すにあたって、メンバー間で議論を交わすことはあったんですか?

武田

2008年のヨーロッパツアーの時に俺の中では飽和状態を迎えていたんですね。俺のやりたい音楽は違うのかもしれないという状態でツアーに出ていたというのもあって、モチベーションを保つのが難しくて。

じゃあ、きっかけは『Phantasia』のヨーロッパツアーなんですね。

武田

そうですね。ツアーの最終日に、俺が「思いっきり変えようと思ってるんだけど、どうかな」と言ったのが発端でしたね。このままの音楽ではLITEをやれないとさえ思って。

そこから今のように、シンセや歌が入る自由度の高い音楽にシフトしていく。

武田

どこにでも行けるなと思いましたね。

例えば、メンバー間で何かイメージを共有しているんでしょう?

武田

今は明確な何かへ向かうというイメージや意識は共有していないんですよ。

逆に鋭角的なサウンドの頃も同じでしたか?

武田

初期の頃は54(54-71)とかでしたね。

なるほど。時間を掛けてキャリアを積み重ねて、今やリキッドルームでワンマンライブをやれるという事実からもLITEを取り巻く状況は変化していると思いますけど、ご自身たちとしてはどうですか?

山本

僕は身の丈にあった活動をしている実感があって。やっぱり今までの活動を経て地に足を固めて今に至っていると思うので、そんなに気負うこともなくライブをやれていますね。


井澤

自分が昔に言った言葉を思い出したんですけど、初めて大きいイベントに誘われたライブハウスがZEPP TOKYOだったのかな。オープニングアクトでライブをした時に、目の前のお客さんがジャガイモ畑みたいに見えるって言ったことがあって(笑)。なんていうか、お客さんが自分たちを見ているという感覚ではなくて、ただ目の前にモノが広がっているようにしか見えなかったんですよ。武田の話と同じだと思うんですけど、元々は「くらえ!」という気持ちでライブをやっていたというか、お客さんを楽しませたいというよりも驚かせたいという気持ちだったんですよね。

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今はどんな意識で演奏に向かっているんでしょう?

山本

自分の中で少し前までは、LITE目当てのお客さんなんていないんじゃないかとまで思っていて、気持ちとしてはヒール的な役割というか、下克上ぐらいの感覚だったんですよ。でも、最近はウチらを観に来てくれてるんだと実感出来るようになって、そうしたら「もっと伝えよう」という風に演奏の意識も働いて、もっとオーディエンスと繋がろうとするライブに変わったんだと思います。

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