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CONTRAST [インタビュー] 「待望」に凝縮された10年の月日

「待望」に凝縮された10年の月日

魚頭圭(プロフィール)

魚頭圭

プロフィール 魚頭圭
ミュージシャン。AS MEIAS、Zのギタリスト。

AS MEIAS
2000年結成。高橋良和(ギター・ヴォーカル)、魚頭(ギター)、塚本純(ドラム)、 羽田剛(ベース)の4人から構成されるロックバンド。メンバーが、アンダーグラウンドの音楽シーンで語り継がれるbluebeard、There is a light that never goes out、Kulara、NAHTといったバンドに所属していたキャリアはもちろんのこと、複雑に楽器が絡むテクニカルな要素と、聴きやすいメロディーを兼ね備えた完成度の高い楽曲で、厚い支持を得ている。2010年12月8日に待望の新作『AS MEIAS II』を発表。2011年3月26日には新代田FEVERにてバンド史上初となるワンマンライブが開催される。
http://www.catune.com/asmeias/
http://www.myspace.com/asmeias

Z
There is a light that never goes outの根本潤(歌とサックス)、根本歩(ドラム)、魚頭(ギター)を中心に結成。ハードコア、パンクを基盤としながらも、ジャズを採り 入れた即興的かつセッション的な音楽性を兼ね備えたロックバンド。最新作は2009年発 表の『新今日』。自主企画・Z会では、共演バンドのミュージシャンとともにステージで演奏を繰り広げ、注目を集めている。2010年12月に根本歩が脱退。ドラムにクリプトシティの弘中聡を迎え、精力的に活動中。
http://zjapanz.tumblr.com/
http://www.myspace.com/zjapanz

バンドの結成から遡ると、実に10年となる。1stミニアルバムか6年。間に店舗限定のシングルを1枚挟んで、ついにAS MEIASの新譜がリリースされた。バンドの結成から遡ると、実に10年となる。今回も全5曲で構成されたミニアルバム。収録時間にして約30分、曲の展開に合わせて複雑に楽器が絡み合い、所々で変拍子や転調のアクセントが利いている。それでいてメロディーは聴きやすく、ヴォーカルもスッと耳に入ってくる。この絶妙なバランス感覚がAS MEIASの特徴だ。その一方で、今回の音源には、これまでのAS MEIASにはなかった得体の知れない何かを感じる。私たちを昂らせる音符やリズム以外に見え隠れしている情報は、一体何なのか。AS MEIASと同時にZとしても活動するギターの魚頭圭に、バンドの結成から今回のリリースに至るまでのターニングポイント、魚頭自身のトピックを振り返ってもらった。

Text by Shota Kato

よっちゃんが作ってきてくれた『AROUSE』の説得力が半端じゃなかった。

改めて、全国流通盤として6年ぶりとなるミニアルバムのリリースおめでとうございます。まさに待望の二文字が似合うと思いますし、貴重なインタビューが出来ることを嬉しく思います。

魚頭

ありがとうございます。

2004年に1stミニアルバムをリリースして、間にEP盤を挟んで今回のリリースとなったわけですが。魚頭さん個人としての感想はどうですか?

魚頭

いっぱいあるけど、やっぱりパッと出てくるのは「やっと出来たな」っていうか。「やっとここまで来たな」というところかな。月並みな表現だけど。

それは、やはり6年間という時間の重みから?

魚頭

6年が連続した月日という感覚じゃなくて。バンドが動いていく長い年月の中で、自分の中では何回かターニングポイントみたいなもので分けられるのね。ウチのバンドはベースが何回か変わって、その度に仕切り直してきたから。そういったことを含めてだね。

今回の新譜には、これまでのAS MEIASとは明らかに違う”何か”が音源の中にある気がして。複雑に楽器が絡んでいく曲展開や聴きやすいメロディーのバランス感覚以外にも、6年間、自分たちの音楽とストイックに向き合ってきたエネルギーまでパッケージ されているというか。

魚頭

結成当時に遡ると、bluebeardが解散して、よっちゃん(高橋良和)がバンドをやっていなかったんだよね。オレはゼアイズ(There is a light that never goes out)をやっていたんだけれども、一緒にライブもやっていてbluebeardが好きだったし。「勿体ねえな」って思って。オレが「一緒にやろう」って誘って始まったのね。オレはよっちゃんに曲を書いて欲しかったから、最初はよっちゃんが持ってきた曲の断片やフレーズに対して、皆で「ああでもない。こうでもない」って言いながら曲を作っていて。それで出来たのが1枚目のミニアルバムだったんだよね。

1枚目以降の曲作りのアプローチはどうなったんですか?

魚頭

そのやり方でずっとやってたんだけどさ、オレらの中では、なんとなく当時はよっちゃんのリハビリ期間みたいな感じで。もう一度バンド感みたいなものを皆で楽しむっていうか。そういう時期がひと段落して、よっちゃんが作曲者として目覚めたっていうと大袈裟かもしれないけど、それを感じさせたのが『AROUSE』で。あの曲は、とにかく曲が出来なかった時期だったから、オレがよっちゃんに「本当にやりたいことを完全に作ってきて欲しい」って言って、作ってきてくれた曲なのね。あれを聴いた瞬間に、それまでAS MEIASでオレらが作っていた曲とは全く違って。曲そのものが持つ説得力が半端じゃないっていうか。その頃っていうのは、AS MEIASの今後について悩んでいた時期でもあって。皆でやっているのは楽しいんだけれども、演奏や曲だったり、バンドとしての完成度っていうものが、どこか物足りないのを客観的に感じていて。



バンドとして危機感を抱いていたんですね。

魚頭

うん。「このままじゃマズいな」って思った。周りがある程度評価してくれているのは感じていたし、嬉しかったんだけど、自分たちがやるにあたって欠けている何かを、もっと具体化しなきゃいけないって思ったときに、よっちゃんが持っている曲のイメージを、より研ぎすまされたものにしていった方が良いんじゃないかって。そのスタートラインが『AROUSE』で、それからは基本的によっちゃんが曲のイントロからアウトロまで全部を作ってきて、それをバンドで演奏するっていうやり方にして。曲を聴いてもらうと分かると思うけれど、演奏するのがすごく難しかったりするから。それをよっちゃんのイメージに沿って、なおかつ生身の人間が演奏している良さとか。さっき言ってくれたバランスみたいなものは、オレらからすると自然に出せたものではないんだよね。

試行錯誤を重ねて?

魚頭

「こうした方がいいかな」とか「こうしなきゃいけない」とか、何度もスタジオの中で繰り返して生まれたもので。だから「ここまで来たな」っていう感触なんだよね。今回は、演奏面でもかなりシビアなところまでお互いに突っ込み合っていて。だから、1枚目を出したときとは相当違う意識でやっているというか。

なるほど。そのお話を聞いて、1枚目との違いが見えてきました。危機意識や次に行くためにはどうしたら良いのかといった葛藤も含まれていたんですね。

魚頭

「AS MEIASを本当にやりたいのか?」っていうところまで突き詰めたというか。