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CONTRAST [インタビュー] 好奇心が導くままに。

好奇心が導くままに。

Luca Gabino(プロフィール)

Luca Gabino

プロフィール Luca Gabino
フォトグラファー。1975年生まれ、イラリア・ミラノ出身。イタリアの美大を卒業後、イタリアにて活動を開始。その後、日本の文化や習慣に興味を来日する機会が増え、2010年より東京生活をスタート。現在はヨーロッパの仕事が中心だが、今後は活動拠点を日本に移行する予定。ミラノ、ローマ、ベルリン、ストックホルムなどで個展を多数開催。雑誌では「ROLLING STONE(イタリア版)」、「ELLE(イタリア版)」、「VICE」など。日本では、トラベルカルチャー誌「NEUTRAL」、「TRANSIT」、「Papersky」に携わる。

http://www.lucagabino.com/

SONIC YOUTH元メンバーのジム・オルーク。彼が親日家で、今や日本に住んでいることは有名な話だ。ルカ・ガビーノというイタリア人写真家をご存知だろうか?彼もジム・オルークと同じく日本で暮らしている外国人の一人だ。二人に直接的な関係はないが、故郷を離れて、遠い異国に生活環境を移したという点は共通している。ルカはヨーロッパで数々の賞を獲得し、展覧会も開いている、優れた表現者だ。フリーランスのカメラマンとして、彼を指名するクライアントだっている。それにもかかわらず、ルカは単身イタリアから日本にやってきた。日本国内に安定した仕事があるわけでもないのに。事実、彼の日本での状況は決して良いとは言えない。でも、写真の腕前は紛れもなく本物。研ぎすまされた感覚で撮られる彼の写真が、それを物語っている。

なぜ大きなリスクを冒してまで、彼は日本で生活することを選んだのか?ルカ・ガビーノに会って、胸の内を訊いてきた。

Text by Shota Kato Photo by WYPAX Translation by miwamachine

東京には、いつも新しい何かがある。

まずは、ルカの生まれ育った土地について教えてもらえますか?

ルカ

僕はイタリアのミラノ出身なんだ。

サッカーで有名なイタリアの中でも、かなり熱狂的な地域ですよね。ACミランとインテルミラノという名だたる強豪チームがあって。

ルカ

そうだね。でも、僕は全くもってサッカーに興味がないんだよ。

ある意味、非国民じゃないですか(笑)。

ルカ

(笑)。自分でも思うけど、イタリア人の中でも変わっているのかも。サッカーも好きじゃないし、コーヒーも飲まないからね。

イタリアのパブリックイメージをことごとく(笑)。

ルカ

体に合わないんだよ(笑)。

カフェインがダメなのかな…。日本茶も合わないとか?

ルカ

濃いやつは駄目なんだよね。でも、お酒は大丈夫(笑)!

CONTRAST [インタビュー] Luca Gabino | 好奇心が導くままに。

きっと、変わらないって伝統が守られていることだと思うんですけど、それはルカにとって重要な要素ではないんですね。

ルカ

ミラノは、僕の理想の都市像に合わなかったんだ。

理想の都市像というのは?

ルカ

これはいま思いついたんだけど、例えば、自分のことを誰も知らない場所に行くとしよう。誰にも声を描けたりせずに、その街で普通に過ごせてしまうよね。でも、ミラノにいると、どこに行っても誰かしら自分の知り合いや友人に会ってしまう。それに、ミラノって小さい街だから、写真を撮ろうとしても、興味の湧く被写体が 無くなってしまうんだよ。自分にとっては、全部知っているように感じるし、同じに見えてしまうから。でも東京は、新宿や渋谷、池袋だったり、それぞれ違う表情を持っているだろ?ファッションも街並みも、目まぐるしいスピードで変わっていくじゃない?そういう意味では、ミラノって本当に変化のない街なんだよ。

なるほど。でも、ミラノはルカの生まれ故郷じゃないですか。

ルカ

もちろん。ミラノの悪いところばかり語ってしまったけど(苦笑)、ミラノも少しずつ変化していると思う。生まれ故郷だし、家族も住んでいる。だから愛着はあるよ。でも、これって”love”と”hate”の関係みたいな感じなのかもね。イタリアは良い国で、素敵な場所はたくさんあるけど、僕にとって、ミラノはイタリアの中で優れた素晴らしい場所ではないと思うな。

刺激が欲しくて、生まれ故郷を離れた?

ルカ

そうだね。僕にとって、暮らすということにおいて重要なポイントは、刺激を与えてくれるかどうかなんだ。仕事にしても、自分自身のためにも、常に新しいことを学んでいきたいと思っているから。自然も好きだから田舎にも住んでみたいけどね。

つまり、生活する上でのキーワードは変化なんですね。

ルカ

東京って本当に大きい街だし、いつも新しい何かがあるよね。そういう変化や発見って、サブカルチャーが東京に根強い証拠だと思うんだ。ニューヨークやロンドン、東京やベルリンって、サブカルチャーがいつも発達していて、刺激的で興味深い場所なんだよね。僕は好奇心が旺盛で、それが自分の写真にも表れていると思うんだ。

スケボーと写真の共通点

ルカの写真やカメラとの出会いを話してもらえますか?

ルカ

僕が初めてカメラを手にしたのは、1984年、僕が9歳の頃だったね。キャノンのコンパクトカメラだった。当時、僕の両親は旅行が大好きでね。その頃って、しょっちゅう色んなところに旅行で行っていたんだよ。僕も旅行の時は、いつもそのカメラで色んなものを撮っていたね。で、23歳の頃に初めて一眼レフのカメラを手に 入れたんだ。それまでは、ずっと同じコンパクトカメラを使っていたんだよね。

著名な写真家や写真がきっかけだったわけではないんですね。

ルカ

小さい頃からずっと自然や動物に興味があって、叔父が百科事典のシリーズを12年間くらいかけて毎年プレゼントしてくれていたんだ。物心ついてからはNational Geographicを定期購読するようになったんだよね。小さい頃に経験した、両親との旅行、自然や動物への興味、National Geographicの写真が、僕を写真の世界へ導いてくれたんだと思う。

CONTRAST [インタビュー] Luca Gabino | 好奇心が導くままに。

科学的な側面から写真に興味を示していったんですね。サブカルチャーの要素は影響していないんですか?

ルカ

いや、そんなことはないよ。14歳の頃にスケボーを始めて、そこからスケボーが僕にとって、とても大切なものになったんだ。常にスケボーのことを考えていて、スケボーばかりやっていた。で、ある日アメリカのスケボーの雑誌を買って、それに載っていたスケボーの写真を見ていたんだ。これは僕にとって大切なことだったし、影響を与えた出来事だったと思う。23歳で初めて一眼レフを手にして、一番最初に撮ったのは、友達がスケボーをしている写真だったんだ。スケボーと写真って似ていると思わないかい?

なんだろう。個人で楽しめるということですか?

ルカ

そう。スケボーって個人のスポーツだし、まぁそもそもスポーツじゃないけどね(笑)。これが僕の頭に残っていて、僕の写真家としての骨格を形成したんだと思う。写真だって、自分が自分のためにやることでしょ?だから、スケボーは僕が写真家になるための通過点であり、大切なステップだったと思うんだ。

なるほど。ルカにとって、スケボーと写真は表裏一体なんですね。

ルカ

そうだね。あと、サッカーとか野球は細かいルールがあるけど、スケボーにはそれがないんだよね。それも写真を撮るのと一緒だよね。写真だって、自分が撮りたいと思ったものを撮るだろう?

CONTRAST [インタビュー] Luca Gabino | 好奇心が導くままに。