CONTRASTは、創(造)る行為で私たちを魅了する人物にフォーカスし、彼らとの対話から「ものづくりの温度」を伝えるウェブマガジンです。

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CONTRAST [インタビュー] インストゥルメンタルの醍醐味

インストゥルメンタルの醍醐味

kowloon(プロフィール)

kowloon

プロフィール kowloon
高橋鉄兵(bass,guitar,microKORG)、中村圭作(keyboard,synthesizer)、梅木太一(drums)から成る3ピースインストゥルメンタルバンド。インストゥルメンタルロックという概念を超え、ジャズ、ハウス、ブレイクビーツ、アブストラクトなサウンドを取り込み、ミニマルかつダイナミックに昇華させた楽曲は唯一無二。圧倒的なテンションを持つ楽曲は、時にブレイクし、時に各パートが一体となり、フレーズ、リズムが絶妙な距離でぶつかり合う。約4年ぶりのkowloonの新作『metallic,exotic』情熱的であり冷静沈着。彼らの音楽は常に高揚感を感じさせ、聴くものの脳裏にアンビバレンスな感情を喚起させる。エンジニアリング、ミキシング、マスタリングは美濃隆章(toe)、ゲストプレイヤーにbass 吉田一郎(ZAZEN BOYS)guitar ryo iwamoto(we are time)、flute 松村拓海、poetory 山本麻里子を迎えて制作されている。
http://kxwlxxn.net/
http://www.myspace.com/kxwlxxn

世の中の音楽は、ヴォーカル入りとインストゥルメンタルに分類される。言い換えると、声や言葉の有無がその分かれ目になっている。ヒットチャートには軒並み前者がランクイン。後者は、歌モノの影に隠れることがしばしば。インストだから、ヴォーカルが入っていないから聴かない。歌モノを否定する気持ちは毛頭ないが、そんな考えを持っている人がいるならば、とても残念なことだ。トリオというミニマムな編成で多種多様な音楽を表現するkowloonも、ヴォーカルのいない、いわゆるインストバンド。大きな括りではロックだが、分解してみると、そこにはポストロック、テクノ、ブレイクビーツなど、様々なエッセンスが盛り込まれていることに驚く。彼らの最新アルバム『metallic, exotic』を聴いていると、ミニマムかつダイナミックな曲展開や骨太で変幻自在なリズムに、気付けば体が反応してしまう。生身の人間が演奏する音に身を預けたくなる、音楽の楽しみ方の本質を突いた素晴らしい作品だ。ライブやリハーサルを積み重ねて、合宿を敢行して制作された『metallic, exotic』を通じて、ぜひインストの魅力を知ってもらいたい。ちなみに7月から始まるリリースツアーには、何やら嬉しい悲鳴を上げたくなる企画が仕込まれているとか?その内容は、本文の後半で明らかにされている。高橋鉄兵、中村圭作を迎えた、CONTRAST初の飲タビュー。

Text by Shota Kato Photo by WYPAX

大学の頃から続く10年以上の付き合い。

中村

CONTRASTには、山ちゃん(山嵜廣和【インタビュー】toe)とか、シゲ(村田シゲ【インタビュー】クチロロ / CUBISMO GRAFICO FIVE)も載っているんですね。ひと通り読ませてもらいましたよ。

ありがとうございます。山嵜さんとシゲさんは少年期にフォーカスしたお話をお願いしました。バブルとか80年代がテーマですね。

中村

でも、ほとんどBOOWYの話でしょう?(笑)。なかなか聞けないことですよね、あれは。面白かったですよ。

そう言っていただけて嬉しいです。

高橋

魚頭くん(魚頭圭【インタビュー】AS MEIAS / Z)も載っているよね。この前、偶然H&Mで会ったんだよ。エレベーターからいきなり魚頭くんが出て来て、「元気ぃ?」って(笑)。

すごいシチュエーションですね(笑)。

中村

(笑)。BOOWYはカラオケでしか聴いたことがなくて。カラオケの盛り上がり方は、今でいうモーニング娘。的なものはありましたね。本当に失礼なんだけれども、布袋さんと言えば、まず最初に思い浮かぶのは七福神だったから。


高橋

おれもBOOWYは聴いていなかったんだよね。

CONTRAST[インタビュー] kowloon | インストゥルメンタルの醍醐味

お二人ともBOOWYは通っていないんですね。kowloonの音楽って、いわゆるインストゥルメンタルですけど、いつから意識的にインスト音楽を聴くようになりましたか?

中村

クラシック自体がインストだとすると、そういう意味では、生まれたときから親にクラシックを聴かされていましたね。

音楽一家だったんですか?

中村

そうではないんですけど、親父が趣味でバンドをやっていたんですよ。昔、親父は吹奏楽部だったんですけど、その先生が「音楽を死ぬまでやるんだったら入部してもいいですよ」っていうスタンスだったみたいで。それを真に受けて、親父は今でもずっとバンドをやっているっていうね(笑)。市民団体のビッグバンドに入っていて、来年には50周年記念のライブをやるみたいなんですよ。

圭作さんも学生時代は吹奏楽部だったんですか?

中村

僕は高校まで野球部でしたね、音楽もやっていましたけど。いちおう野球部のキャプテンだったんですよ。最後の夏の大会の抽選と文化祭のオーディションが重なって、監督に「オーディションがあるから遅れて行かせて下さい」って頭を下げて。抽選のギリギリまで監督に粘ってもらって、オーディションが終わってから、すぐにタクシーで会場まで行って、なんとか間に合いましたね(笑)。結果オーディションは見事突破、野球部は予想通り一回戦負け(笑)。

(笑)。高校最後の夏が二つ重なるって、なかなかないですよ。

中村

そうそう(笑)。ちなみに、鉄兵が最近になって柔術を始めたんですよ。「今日は柔術があるから、リハを早く終わらせないと」とか言っているぐらいで。


高橋

そもそも柔術じゃないって(笑)。武術ですよ。空手とキックボクシングを週2回ぐらいで。30歳を過ぎると、重力にも逆らえなくなってくるからね。


中村

わりとマメに行ってそうだよね。地震で他の生徒が来ていないのに通っていたんでしょ?


高橋

そうそう。道場が家から近いんだよね。

圭作さんも何かやっています?

中村

近所をチャリで走るぐらいか、フラフープですね。昔、東京から名古屋までママチャリで帰ったこともありましたね。


高橋

出た(笑)。


中村

もはやネタですね(笑)。

鉄兵さんと圭作さんは長い付き合いなんですよね。

中村

そうですね。前のバンドの””でも一緒でしたからね。大学のサークルの頃だから、最初に会ったのは19歳ぐらいですね。年齢で言うと、鉄兵が僕の一つ下になりますね。当時の鉄兵は、電熱虫っていうバンドを新歓ライブでやっていました(笑)。


高橋

川崎くん(川崎昭 / mouse on the keys)は、爆走車っていうバンドをやっていたってね(笑)。暴走車だったかな。


中村

三文字つながり(笑)。ぜひ再結成を見てみたいですね。

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(笑)。鉄兵さんと圭作さんは同じ軽音サークルだったんですね。

高橋

おれは音楽好きの集まるサークルに入っていたというより、顔出してたみたいな(笑)。

圭作さんはどちらの大学だったんですか?

中村

僕は早稲田です。鉄兵の姉ちゃんも早稲田で、鉄兵も遊びに来ていたっていう。鉄兵には、サラブレットの姉ちゃんがいるんですよ。


高橋

サラブレットって(笑)。


中村

隣りのサークルの先輩には、土岐麻子さんがいましたね。新歓ライブで土岐さんがスマパン(スマッシング・パンプキンズ)のカバーバンドみたいなのをやっていて。でも、僕はそのサークルに入らないで、飲み会サークルに入っちゃったっていう(笑)。加藤くんはどこの大学ですか?

僕は法政ですね。多摩キャンパスのほうでしたけど。

高橋

多摩ってさ、ものすごいところにあるよね。

そうなんですよ。山奥だから、ほとんどの人が電車からバスに乗り継いで通学していましたよね。今もそうだと思いますけど。

中村

法政の市ヶ谷に良い感じの学生会館があったでしょう?あそこの2階か3階にスクエアな部屋があったんですよ。ROVOをみんなで見に行って、夜中でも演奏できて雰囲気も良い場所だったから、法政って良いなぁと思いましたね。法政が唯一の砦というか、早稲田も明治も建物が新しくなっちゃって。何年か前に取り壊されちゃったでしょう?

そうですね。たしか2004年に取り壊されたと思いますよ。多摩の学園祭にはtoeやZAZEN BOYSとかも出ていましたけど、市ヶ谷にも色々なバンドを呼んでいましたよね。

中村

市ヶ谷で界もkowloonもライブをやらせてもらったし、良き思い出深い場所ではあるんですよ。

CONTRAST[インタビュー] kowloon | インストゥルメンタルの醍醐味

kowloonの由来は香港の九龍。

kowloonの由来について聞きたいんですけど、これは香港の九龍からですか?

中村

そうですね。現地では”クーロン”じゃなくて、”カオルーン”っていう発音なんですよ。香港が植民地だった時代に、イギリスと中国は両方とも毛嫌いして、手を付けたくなかった領土なんです。すごい人口密度の密集したところに、九龍城砦って呼ばれていたビルの乱立した要塞があるんですよ。そこは無法地帯というかカオティックなところなんですけど、ビルの中にコミュニティが出来ていて。小さい子どもからおじいちゃんおばあちゃんまでの生活が成り立っていたんですよ。違法滞在者とかもいたらしいんですけど。


高橋

その要塞の中に、ちゃんと病院とかもあったんだよね。

要塞みたいな建物の中に、インフラが整っているっていうことですか?

中村

そうそう。インフラっていうとシステマチックな社会を想像しがちですけど、本当にカオスなんですよ。雑居ビルの王様みたいな感じで。

実際に行ったことはあるんですか?

高橋

これがないんだよね。


中村

97年に香港が返還される以前に、政府同士で話し合って、撤去されちゃったんですよ。浅間山荘事件みたいに、でかい鉄球みたいなので崩しちゃって(?)、今は公園になっていますね。それで、昨年toeのアジアツアーのときにその跡地に立ち寄って、公園で写真を撮ってきたんですよ。オシャレなモニュメントとかも置いてあるキレイな公園でした。逆にそれが、歴史をひた隠しにしたいような雰囲気がしましたけど。

CONTRAST[インタビュー] kowloon | インストゥルメンタルの醍醐味

跡形もないんですね。

中村

「昔にこんなのがありました」みたいな2,3メートル四方ぐらいのミニチュアがあった程度で。要塞の面影なんて全くなかったですよ。飾ってある壁画とかも、カモフラージュされているというか、図案化されているような印象も受けましたね。


高橋

写真集とかいっぱい出ているから、それを見れば圭作の言っていることが分かると思うよ。

とても興味深いです。探してみます。

中村

説明がましいですけど、kowloonのサウンドと照らし合わせてもらうと、よりイメージをつかめると思いますよ。クーロンって、文字にするとポップな感じがしません?なんか、ドラゴンボールみたいな(笑)。

ウーロンですか?(笑)

中村

ウーロンとかウーロン茶みたいに、わりとポップな名前だと思われているのかなと思うんですよね。柔らかい語感はあるけど、実際はカオティックなんですよね。

そういえば、名古屋に同名のバンドさんがいますよね。

中村

女の子ドラムのね。いつか対バンしたいなと思っています(笑)。オファー待ちですね。僕も同じ名古屋出身なので、それを機に仲良くなれたらと(笑)。

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